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腸内環境が筋肉に影響する?「腸‐筋軸」とサルコペニアの関係

9月6日
読了時間: 5分

「筋肉を維持するためには、筋トレとタンパク質が大切」

これは間違いありません。


しかし近年、それだけではなく、腸内環境も筋肉の量や筋力に関係している可能性が注目されています。


2026年8月に発表されたレビュー論文では、腸内細菌叢(腸内フローラ)とサルコペニアの関係について、これまでの研究がまとめられました。


今回はこれをもとに、「腸内環境は筋肉にどのような影響を与えるのか?」について、わかりやすく解説していきます。

ぜひ最後まで読んでみてください!


■サルコペニアとは?

サルコペニアとは、加齢などに伴って筋肉量や筋力、身体機能が低下していく状態です。

炎症、酸化ストレス、ホルモンバランス、ミトコンドリア機能など、さまざまな要因が関係するとされています。


そして近年、新たに注目されているのが、「腸内細菌叢」です。


実際に、腸内細菌の多様性が低いこととサルコペニアには関連があり、一部の細菌の減少も筋肉の減少と関連する可能性が報告されています。


こうした腸と筋肉のつながりは、「腸‐筋軸」と呼ばれています。



■なぜ腸内環境が筋肉に関係するの?

腸内細菌と筋肉をつなぐ重要な経路として、主に


①慢性炎症


②栄養素の吸収


③アミノ酸代謝


④腸内細菌が作る代謝産物

の4つが取り上げられています。


〇腸内環境の乱れ→慢性炎症

腸内環境が乱れると、腸のバリア機能が低下し、全身の慢性的な炎症につながる可能性があります。

こうした炎症は、筋タンパク質の合成を抑えたり、筋タンパク質の分解を促したりすることで、筋肉の減少につながると考えられています。


腸内環境の乱れ

↓

慢性的な炎症

↓

筋肉を「つくる」働きが低下

+

筋肉を「分解する」働きが増加

↓

筋肉量・筋力の低下

という経路です。


〇栄養素の吸収にも関係する

筋肉をつくるためには、タンパク質を食べるだけではなく、消化・吸収して身体の中で利用する必要があります。

腸内細菌は食べ物の消化や栄養素の吸収、代謝などにも関係しています。

そのため、腸内環境が乱れることで、筋肉に必要な栄養素をうまく利用できなくなる可能性も考えられています。


③アミノ酸の代謝にも関係する

タンパク質は消化されるとアミノ酸になります。

特に、

  • ロイシン

  • イソロイシン

  • バリン

などのBCAAは筋タンパク質の合成などに関係します。


腸内細菌はこうしたアミノ酸の代謝や利用にも関係しているため、腸内環境の変化が間接的に筋肉へ影響する可能性があります。



■食物繊維が「腸」と「筋肉」をつなぐ?

今回のレビューで興味深いのが、短鎖脂肪酸です。


腸内細菌は食物繊維を発酵することで、

  • 酢酸

  • 酪酸

  • プロピオン酸

などの短鎖脂肪酸を作ります。


これらは腸のエネルギー源になるだけではなく、腸管バリアや免疫、炎症、エネルギー代謝などにも関係します。


特に酪酸は、炎症を抑える作用などを介して筋肉の維持に関係する可能性があります。



■では、筋肉のために何を食べればいい?

今回の論文では、食事によって腸内環境を整えることもサルコペニア対策の一つとして取り上げられています。


特に重要なのが食物繊維です。

食物繊維は腸内細菌のエサとなり、短鎖脂肪酸の産生を促す可能性がありますし、


野菜・果物・全粒穀物・オリーブオイルなどを多く含む地中海食

についても、腸内細菌に好ましい変化をもたらし、サルコペニアが少ないこととの関連が報告されています。


一方、筋肉そのものを維持するためには、当然ながら十分なタンパク質を摂ることも重要です。


つまり、

「タンパク質か食物繊維か」ではなく、両方をバランスよく摂ることがポイントです。



■具体的な実践方法

実践するなら、

  • 定期的に筋トレをする

  • 十分なタンパク質を摂る

  • 野菜・果物・豆類・全粒穀物などから食物繊維を摂る

  • 極端に偏った食事を避ける

  • 腸内環境も含めた食生活全体を整える

といった基本的な習慣が大切です。


特に、「筋肉をつけたいからタンパク質だけ増やす」ではなく、食物繊維なども含めて食事全体を考えるという視点は持っておいてもよさそうです。


■まとめ

今回のレビューでは、腸内細菌叢が炎症、栄養吸収、アミノ酸代謝、短鎖脂肪酸などを通じて筋肉の健康に関係する可能性がまとめられています。


「腸活だけで筋肉を増やす」のではなく、筋トレ+十分なタンパク質+食物繊維を含むバランスの良い食事を基本に腸内環境を整えることが、将来的な筋肉の維持にもプラスに働く可能性があると言えるでしょう。



引用文献

Yikai Liu,et al.Gut-muscle axis in sarcopenia: from mechanisms to microbiome-based therapies.

Front Nutr. 2026 Aug 17;13:1846179.



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