お腹まわりの脂肪は脳にも影響する?【腹部肥満と認知機能】
- 村上 拓斗

- 3 分前
- 読了時間: 5分

今回は、ダイエットを考えるうえで体重だけではなく「どこに脂肪がついているのか」も重要という内容です。
ダイエットでは、体重やBMIの数字に注目しがちです。
しかし、健康を考えるうえでは、脂肪の分布にも注目した方が良いかもしれません。
2026年に発表された研究では、中国の地域在住高齢者3,093名を対象に、「ウエスト身長比」と「認知機能障害」との関係が調査されました。
今回はこの研究をもとに解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
■体重だけではわからない「腹部肥満」
今回の研究で注目されたのが、
ウエスト身長比(WHtR)という指標です。
計算方法は非常に簡単で、
ウエスト周囲径 ÷ 身長
で求められます。
たとえば、
身長170cm
ウエスト85cm
の場合、
85 ÷ 170 = 0.50
BMIは「体重÷身長²」で計算するため、脂肪が身体のどこについているのかまでは判断できません。
論文では、ウエスト身長比は身長の違いも考慮でき、BMIやウエスト周囲径のみを使う場合と比較して、腹部脂肪を評価する指標として有用であると説明されています。
■ウエスト身長比と認知機能障害は関連するのか?
今回の研究では、中国に住む60〜80歳の高齢者3,093名が対象となりました。
参加者の
身長
体重
ウエスト周囲径
生活習慣
高血圧や糖尿病などの疾患
認知機能
などを調査しました。
認知機能については、MoCA-Bという30点満点の認知機能スクリーニング検査を使用しています。
そして参加者をウエスト身長比によって4つのグループに分け、認知機能障害との関係を調べました。
■お腹まわりが大きい人ほど認知機能障害が多かった
研究の結果、
お腹まわりが大きい人ほど、認知機能に問題がみられやすい傾向が確認されました。
注目すべきは、
「ウエスト ÷ 身長」が約0.59を超えたあたりです。
この数値を超えるまでは、お腹まわりが大きくなっても認知機能との明確な関係はみられませんでした。
→約0.59を超えたあたりから、お腹まわりが大きくなるほど認知機能に問題がみられやすい傾向
例えば、「0.59」がどのくらいかというと、
〇身長160cm → ウエスト約95cm
〇身長170cm → ウエスト約101cm
が目安になります。
さらに、お腹まわりの大きさで4つのグループに分けて比較すると、
最もお腹まわりが大きかったグループ:認知機能に問題がみられる可能性が約2.8倍高い
■なぜ腹部肥満が認知機能に関係するのか?
では、なぜお腹まわりの脂肪が認知機能と関係するのでしょうか?
その背景として内臓脂肪に伴う代謝異常が挙げられています。
内臓脂肪の増加は、
インスリン抵抗性
↓
血管内皮機能の障害
↓
炎症性サイトカインの増加
↓
脳や神経系にも悪影響
という経路に関係する可能性があります。
つまり、
「お腹に脂肪がついた」という見た目だけの問題ではなく、その背景で起こる代謝や血管、炎症の変化が重要ということです。
■「痩せる」の目的を体重だけにしない
ダイエットでは、体重変化が成果としてわかりやすいですよね。
もちろん体重も重要な指標の一つです。
しかし、体重だけを減らすことが最終目的ではありません。
今回の研究から考えると、
腹部脂肪を過剰に蓄積させないこと
も、長期的な健康を考えるうえで重要です。
ただ体重を減らすのではなく、
将来も健康に動くことができ、自分らしい生活を続けるための身体を作る。
ダイエットには、そんな予防医療の視点があります。
■注意点
お腹に脂肪がつきすぎていることが、認知機能と関係している可能性があるという結果が示されました。
ただし、「腹部肥満が認知機能障害を引き起こした」と因果関係まで証明した研究ではありません。
腹部肥満が強い人では、認知機能の問題がみられやすかったと考えるのが適切です。
さらに対象者は中国に住む60〜80歳に限定されているほか、身体活動量、睡眠、薬剤使用、APOE遺伝子型などが考慮されていないことも研究の限界として挙げられています。
今回示された「0.594」という数値を、そのまま当てはめる場合には注意が必要です。
■まとめ
ウエスト身長比は腹部脂肪を評価する指標として有用
ウエスト身長比が約0.59を超えたあたりから、大きくなるほど認知機能に問題がみられやすい傾向
背景として内臓脂肪に伴う代謝異常が関連している可能性がある
今回の研究は、「体重」だけではなく「脂肪がどこについているのか」にも目を向ける必要があることを考えさせてくれる結果です。
過剰な腹部脂肪を蓄積させない身体づくりをしていくことは、見た目だけではなく、将来の健康を守るための取り組みにもつながっていくでしょう。
引用文献
Fang Yuan,et al.Association between waist-to-height ratio and cognitive impairment among community-dwelling elderly adults in Laoshan, Qingdao: a cross-sectional study.
Front Nutr. 2026 Jul 13;13:1848267.
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