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よく噛める子どもは体力も高い?「咀嚼能力」と体力の意外な関係

9月14日
読了時間: 5分

釧路市鳥取にあるパーソナルジムR. Physio labスタッフの村上です!


今回は、少し意外な「噛む力と体力の関係」について解説します。


「よく噛んで食べましょう」と子どもの頃に言われた経験がある方も多いのではないでしょうか?

噛むことは、食べ物を細かくして食べやすくするだけではありません。


日本の小学生を対象に咀嚼能力と体力の関係について調査された研究をもとにわかりやすく解説していきます。

ぜひ最後まで読んでみてください!


■咀嚼能力とは?

「咀嚼能力」とは、食べ物をどの程度しっかり噛み砕けるかを表す能力です。


噛むことは食べ物を細かくし、食事や消化を助ける重要な機能です。


また、咀嚼機能が低いことは、食事の質や栄養状態の悪化とも関連することがこれまでの研究で報告され、成人や高齢者では、身体機能やフレイル、生活の質などと関連する可能性が示されています。


では、成長期の子どもでは「噛む力」と「体力」にどのような関係があるのでしょうか?



■咀嚼能力と体力は関連する?

今回の研究は、大阪市の公立小学校29校に通う小学4年生、9〜10歳の子ども1,225名を対象とした横断研究です。


内訳は、

  • 男子608名

  • 女子617名


咀嚼能力の測定には、噛むことで色が変化する専用のガムが使用されました。


1秒に1回のペースで1分間、合計60回ガムを噛み、その色の変化を専用アプリで評価。

咀嚼能力を1.0〜10.0のスコアで数値化しています。


体力については、

  • 握力

  • 上体起こし

  • 反復横跳び

  • 20mシャトルラン

  • 50m走

  • 立ち幅跳び

  • ソフトボール投げ

という7つのテストを実施しました。


そして7項目をまとめた「総合体力スコア」を算出しています。


単純に「足が速いか」「握力が強いか」だけではなく、

筋力・持久力・敏捷性・パワーなどを含めた総合的な体力との関係を調べた研究です。



■結論:よく噛める子どもほど体力が高かった

結果として、全体では咀嚼能力が高いほど、

  • 反復横跳び

  • 20mシャトルラン

  • 50m走

  • ソフトボール投げ

  • 総合体力スコア

が良好であるという有意な関連が確認されました。


さらに身長や体重などの影響を統計的に調整した後でも、咀嚼能力と総合体力スコアには有意な関連が認められています。


身体が大きい子だから、噛む力も体力も高かったということだけでは説明できない関連が確認されたことになります。


ただし、ここはかなり重要ですが、関連の強さ自体は大きなものではありません。

研究者も「統計的には有意だが、その関連の大きさは比較的小さい」としており、実際の体力にどの程度意味のある差をもたらすのかは、まだ明らかになっていません。



■男子と女子では違いがあった

興味深いのが男女別の結果です。


男子では、咀嚼能力と

  • 上体起こし

  • 20mシャトルラン

  • ソフトボール投げ

  • 総合体力スコア

に有意な相関がみられました。


一方、女子では20mシャトルランとの相関のみが有意でした。


身長・体重を調整した分析でも、男子では咀嚼能力と総合体力スコアの関連が残りましたが、女子では有意な関連は認められませんでした。


しかし、

「性別×咀嚼能力」の交互作用は有意ではなかったため、「男子では関係するが、女子では関係しない」と男女差そのものが証明されたわけではありません。


論文でも男女別の結果は慎重に解釈すべきとしています。


女子で関連がみられなかった理由として、身体の成熟度や生活習慣、心理社会的要因などが影響した可能性を挙げています。



■なぜ「噛む力」と「体力」が関係する?

では、なぜ噛む能力と体力が関係しているのでしょうか?

研究では、いくつかの可能性が考察されています。


①栄養摂取との関係

成長期の子どもにとって、十分な栄養は筋肉の働きや代謝、身体の成長に欠かせません。


咀嚼能力 → 食事・栄養状態 → 身体機能や体力

という経路が関係し、しっかり噛めることによって食べ物を効率よく細かくでき、適切な栄養摂取につながる可能性があります。



②神経と筋肉の機能

噛むという動作は、実は単純な運動ではありません。

咀嚼筋と中枢神経系が協調することで行われる運動です。


高い咀嚼能力は神経と筋肉をうまくコントロールする「神経筋機能」の良さを反映し、持久力やパワーなど全身の体力とも関連している可能性が考えられています。



■注意点

この研究は横断研究であり、ある時点で「咀嚼能力」と「体力」を測定し、その関連を調べています。

よく噛むようにすれば体力が上がるという因果関係が証明されたわけではない点には注意が必要です。


また、食事内容や普段の身体活動量、社会経済的な要因などについて十分に調整できていません。

例えば、普段からよく運動する子どもが体力も高く、食生活や口腔機能も良好だった、という可能性も残されています。



■まとめ

  • 咀嚼能力が高い子どもほど、総合的な体力も高い傾向


「たくさん噛めば運動能力が上がる!」という単純な話ではありません。


しかし、噛むことは口の中だけの問題ではなく、栄養摂取や神経・筋肉の働きなどを通して、身体全体の発達と関係している可能性があります。


成長期の身体づくりでは、「しっかり噛んで食べられているか」という視点も大切なのかもしれませんね。




引用文献

Hiramatsu R, Kosaka T, Otsugu M, et al.Association between masticatory performance and physical fitness in Japanese elementary schoolchildren: The Osaka MELON Study.

Journal of Dentistry. 2026;174:106867.




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