美しいヒップラインを目指す!科学的根拠に基づく種目の選び方

釧路市にあるパーソナルジムR.Physio labスタッフの村上です!
「ヒップアップしたい」
「お尻を引き締めたい」
「丸みのあるきれいなヒップラインを作りたい」
このような目的で、お尻のトレーニングに取り組んでいる方も多いのではないでしょうか?
実は、お尻の筋肉はトレーニングの種目によって、成長しやすい部位が異なる可能性があります。
2026年に発表された研究では、若年成人17人を対象に、股関節を後ろに伸ばす運動と横に開く運動を10週間実施し、お尻の筋肉の成長や筋力の変化を比較しました。
今回はこの研究をもとに、お尻の筋肉の特徴や、効率よく鍛えるためのトレーニング方法について、わかりやすく解説していきます!
ぜひ最後まで読んでみてください!
■ お尻の筋肉はどのような構造になっている?
お尻には複数の筋肉が存在しますが、代表的なのが次の3つです。
① 大臀筋
お尻の表面にある大きな筋肉で、主に股関節を後ろに伸ばす働きがあります。
歩く・走る・ジャンプする・立ち上がるなど、日常生活やスポーツ動作に重要な役割を担っています。
また、お尻の大きさや形にも大きく関係しています。
② 中臀筋
お尻の外側に位置する筋肉で、主に脚を横に開く働きがあります。
歩行中に骨盤が左右に大きく傾かないように支えるなど、身体の安定性に関係しています。
③ 小臀筋
中臀筋よりも深い位置にある筋肉です。
中臀筋と同様に、股関節の外転や骨盤の安定に関与しています。
つまり、お尻の筋肉はそれぞれ異なる役割を持っており、効率よく鍛えるためには、その特徴を理解することが重要になります。
■種目によって成長する筋肉が変わる?
今回の研究では、2種類のトレーニングによるお尻の筋肥大効果が比較されました。
対象:若年成人17人(男性12人・女性5人)
平均年齢:28.3歳
運動経験:過去6か月間、筋力トレーニングを実施していない方
研究期間:10週間
運動頻度:週2回
運動強度:8〜12回で限界になる負荷
評価方法:MRIによる筋断面積の測定、最大筋力(1RM)の測定
参加者は、左右の脚で異なるトレーニングを実施しました。
① 股関節伸展運動(ヒップエクステンション)
ケーブルマシンを使用し、脚を後ろに伸ばす運動です。
主に大臀筋の働きを利用します。
② 股関節外転運動(ヒップアブダクション)
ケーブルマシンを使用し、脚を横に開く運動です。
大臀筋の一部や中臀筋、小臀筋などが関与します。
片脚に伸展運動、反対側の脚に外転運動を割り当て、10週間トレーニングを実施後、MRIを使用して大臀筋の上部・中部・下部に相当する領域と、中臀筋・小臀筋の筋断面積を比較しています。
■ 研究結果① 大臀筋全体の成長に違いがあった
10週間のトレーニングによって、どちらの運動でも大臀筋の筋断面積が有意に増加しました。
しかし、増加率には違いが認められました。
【大臀筋全体の増加率】
股関節伸展運動:約9%
股関節外転運動:約5%
股関節伸展運動の方が、大臀筋全体の筋断面積を大きく増加させました。
今回の条件では、大臀筋全体を大きくする目的には、股関節伸展運動の方が効果的だったと考えられます。
ただし、これは今回使用されたケーブル運動同士の比較であり、すべての伸展種目がすべての外転種目より優れていることを意味するわけではない点には注意が必要です。
■ 研究結果② お尻の成長する部位が違った
今回の研究で特に注目したいのが、大臀筋を近位部(お尻の上部に近い領域)・中間部・遠位部(お尻の下部に近い領域)の3つに分けて、MRIによる筋断面積の変化を比較した結果です。
【股関節伸展運動】
近位部(上部側):約5%
中間部:約8%
遠位部(下部側):約14%
【股関節外転運動】
近位部(上部側):約10%
中間部:約4%
遠位部(下部側):約1%
つまり、
股関節伸展運動:大臀筋の下部側で大きな成長
股関節外転運動:大臀筋の上部側で大きな成長
この結果は、同じ大臀筋でも、トレーニングの動作によって筋肥大する部位が変わる可能性を示しています。
■中臀筋・小臀筋への効果は?
続いて、中臀筋と小臀筋の変化を見ていきましょう。
【中臀筋+小臀筋の増加率】
股関節伸展運動:約2%
股関節外転運動:約4%
2つの運動間の増加量の差は統計学的に有意ではありませんでした。
そのため、今回の結果だけで「股関節外転運動の方が中臀筋・小臀筋を確実に大きくできる」と断定することはできません。
それでも、股関節外転運動が大臀筋の近位部だけでなく、中臀筋・小臀筋にも刺激を与える選択肢になることが示されました。
■筋力の向上にも違いがあった
研究では、筋肉の大きさだけでなく、最大筋力の変化も調べられました。
【股関節伸展1RM】
伸展運動を実施した脚:+40%
外転運動を実施した脚:+23%
【股関節外転1RM】
伸展運動を実施した脚+17%
外転運動を実施した脚+35%
筋力の向上には、実際にトレーニングした動作が大きく関係していることがわかります。
■ なぜ種目によって筋肉の成長する部位が違う?
その理由の一つとして考えられているのが、筋線維の走行方向と力を発揮する方向の違いです。
大臀筋は一つの大きな筋肉ですが、すべての筋線維が同じ方向に並んでいるわけではありません。
大臀筋の遠位部の筋線維は股関節伸展に、近位部の筋線維は股関節外転に、それぞれ比較的大きく関与すると考えられています。
そして筋肉はトレーニングによって機械的な負荷を受けることで、筋肥大を引き起こします。
負荷の大きさだけでなく、どの方向に力を発揮するかも、筋肉の成長する部位に関係する可能性を示しています。
ただし、研究では部位ごとの筋線維張力を直接測定していないため、詳しいメカニズムについては今後の研究が必要とされています。
■ 効率よくお尻を鍛えるためには?
① 股関節伸展運動を取り入れる
今回の研究で使用されたケーブルヒップエクステンションのほか、股関節伸展を伴う代表的な種目として、
ヒップスラスト
スクワット
ルーマニアンデッドリフト
などがあります。
大臀筋全体の筋肥大を目的とする場合、股関節伸展運動は重要な選択肢になります。
② 股関節外転運動も組み合わせる
大臀筋の近位部や中臀筋・小臀筋への刺激を考えると、股関節外転運動も取り入れたい種目です。
例えば、
ケーブルヒップアブダクション
ヒップアブダクションマシン
などが選択肢になります。
③ 適切な負荷と継続を意識する
今回の研究では、週2回、8〜12回で限界になる負荷を用いて、10週間トレーニングを継続しました。
また、筋力の向上に応じて負荷を調整しています。
筋肉を成長させるためには、種目の選択だけでなく、適切な負荷設定や継続的なトレーニングも重要です。
まず正しいフォームを身につけ、徐々に負荷を高めていきましょう。
■ 注意点
今回の研究は、お尻のトレーニング種目を選ぶうえで参考になりますが、いくつか注意点があります。
対象者は筋トレ経験のない若年成人17人であり、女性は5人
研究期間は10週間であり、長期間トレーニングした場合の変化はわかっていない
そのため、筋トレ経験者や中高年女性でも同じ結果になるかは明らかではありません。
さらに、今回比較されたのはケーブルによる股関節伸展運動と股関節外転運動であり、両方を組み合わせた場合の効果は直接検証されたわけではないため、両方の運動を組み合わせることで、単独で実施する場合よりも大きな筋肥大が得られるかについては、今後の研究が待たれます。
■ まとめ
股関節伸展運動は、大臀筋全体の筋肥大効果が大きかった
股関節伸展運動では、大臀筋の遠位部(下部側)が大きく成長した
股関節外転運動では、大臀筋の近位部(上部側)が大きく成長した
股関節外転運動では、中臀筋・小臀筋にも小さな筋肥大効果が認められた
お尻全体をバランスよく鍛えるためには、股関節伸展運動と股関節外転運動を組み合わせることが合理的な選択肢になると考えられます。
ただし、筋肉の成長には個人差があり、トレーニング経験や負荷設定、フォームなどによっても結果は変わります。
目的に合った種目を選び、無理なく継続することを意識してみましょう!
引用文献
Parsa Attarieh, et al.Regional Hypertrophy of the Gluteal Muscles Is Task-Specific: Differential Responses to 10 Weeks of Hip Extension Versus Hip Abduction Training.J Strength Cond Res. 2026 Oct 7.
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