約9割が栄養知識不足?【920名のアスリートを調査した最新研究】
- 村上 拓斗

- 2 日前
- 読了時間: 5分

「これを食べれば痩せる」
「このサプリメントがおすすめ」
など、今はSNSやインターネットを開けば、さまざまな栄養情報が流れてきます。
健康やダイエットを意識している方が食事について正しい知識を身につけるのは難しいものです。
2026年に発表された研究では、920名ものチームスポーツ選手を対象に栄養知識が調査されました。
普段から身体づくりに取り組んでいるアスリートは、実際にどのくらい正しい栄養知識を持っているのか興味深い内容です。
今回はこの研究をもとに正しい栄養知識を身につける重要性について解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
■運動している=栄養について詳しいとは限らない?
今回の研究では、18〜40歳の男女のチームスポーツ選手920名を対象に、栄養に関する知識が調査されました。
対象となったのは、
ゲーリックフットボール:576名
ハーリング・カモギー:133名
ラグビー:107名
サッカー:104名
で、そのうち343名がエリートレベル、577名がクラブ・大学などの非エリートレベルの選手でした。
栄養知識の評価には、妥当性が検証されたNSKQ(Nutrition for Sport Knowledge Questionnaire)という質問票が使用されています。
質問は全部で87問あり、
「体重管理」
「三大栄養素」
「ビタミン・ミネラル」
「スポーツ栄養」
「サプリメント」
「アルコール」
という6つの分野について評価。
単純に「栄養に興味がありますか?」と聞いたものではなく、実際にどの程度正しい知識を持っているのかを詳しく調べた研究です。
■結論:約9割の選手が十分な栄養知識を持っていなかった
結果はかなり興味深いものでした。
920名の平均正答率:50.4%
研究で使用された基準では「平均的」に分類されますが、かなり下限に近い数値です。
さらに、
知識が乏しい:48.4%
平均的:41.4%
良好:8.3%
非常に良好:2.0%
となっており、89.8%の選手が「乏しい」または「平均的」な栄養知識に分類されています。
「非常に良好」だった選手は、わずか2%です。
普段からトレーニングや競技に取り組んでいる人であっても、必ずしも栄養について正しい知識を持っているわけではないことが分かります。
■特に知識が不足していた3つの分野
さらに詳しく見ると、特に正答率が低かったのが、
ビタミン・ミネラル:42.77%
スポーツ栄養:46.93%
サプリメント:35.42%
この3つはすべて研究の基準で「知識が乏しい」に分類されています。
中でも注目したいのが、サプリメントの正答率が約35%しかないという点です。
論文では、サプリメントに関する知識不足によって、マーケティングなどの影響を受けやすくなり、効果のないものや有害なもの、競技者の場合には禁止物質を使用してしまう可能性につながることが指摘されています。
これはアスリートだけの問題とは限りません。
一般の方においても、
「脂肪燃焼サプリ」
「これを飲めば痩せる」
といった情報を簡単に目することが出来ます。
商品を選ぶ前に、栄養そのものについて正しく理解することが大切なのです。
■栄養情報を「知る」だけでは不十分
もちろん情報を取りに行く行為は大切です。
しかし、
単純に栄養情報へアクセスできるだけでは不十分であり、
実際に、栄養情報へのアクセスと知識の高さに有意な関連は認められていません。
情報の質
自分にとっての関連性
その情報への関わり方
情報をどの程度覚えているか
などが重要である可能性が指摘されています。
つまり、
「情報をたくさん見る=栄養に詳しくなる」とは限りません。
情報が多すぎるからこそ、「何を知っているか」だけでなく、「その情報は本当に正しいのか」を判断する力が必要でしょう。
■正しい知識は「自分で食事を選ぶ力」につながる
最終的な目標として非常に重要な考え方が示されています。
それは、
『自分自身で、根拠に基づいた食事の意思決定ができる能力を身につけること』
例えば、
「これを食べてください」
「これは食べないでください」
と言われたことだけを続ける
→指導がなくなった途端に食事管理ができなくなってしまいます。
一方で、
「なぜタンパク質が必要なのか」
「なぜ野菜や果物を食べるのか」
「なぜ極端な食事制限をしないのか」
「自分にはどのくらいの食事量が必要なのか」
といったことを理解できれば、外食や旅行など環境が変わったときにも、自分で考えて食事を選ぶことが出来ます。
本来身に付けたいのは、
「決められた食事を守る能力」ではなく、
「自分で適切な食事を選択できる能力」なのです。
■正しい知識と実践できる環境がポイント
十分な栄養知識は適切な食事をするための重要な要素ではあるものの、知識がそのまま食行動の変化につながるわけではありません。
実際に食生活を変えるためには知識だけでなく、モチベーションや変化を受け入れる姿勢など、さまざまな要因が関係してきます。
ダイエットで例えると、
「痩せる方法を知っているのにできない」ということが起こるのも、ある意味当然なのです。
正しい知識を身につけること × 実践できる環境をつくること
ここが非常に重要なポイントです。
■まとめ
普段から身体づくりをしている人でさえ、正しい栄養知識を身につけることは簡単ではありません。
大切なのは、「なぜ」を理解し、自分自身で食事を選択できるようになることです。
正しい栄養知識を身につけることは、長期的な身体づくりの大切な土台になるでしょう。
引用文献
Chris V McDonald,et al.Nutritional knowledge of team sport athletes.J Nutr Sci. 2026 Jun 1;15:e39.
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