食べなさすぎは睡眠の質が落ちる?エネルギー不足と睡眠の関係
- 村上 拓斗

- 2 日前
- 読了時間: 6分

「しっかり寝ているつもりなのに、朝スッキリしない」
このような場合、睡眠時間だけではなく、「身体に必要なエネルギーをしっかり摂れているか?」にも目を向けた方がいいかもしれません。
2026年に発表された研究では、大学トップレベルの男女競泳選手を対象に、「エネルギー利用可能量と睡眠の質」の関係が調査されました。
今回は、食べなさすぎることが睡眠にどのように関係するのかについて解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
■エネルギー利用可能量(EA)とは?
今回の研究で重要になるのが、
エネルギー利用可能量(EA)という考え方です。
簡単にいうと、
食事から摂ったエネルギーから運動で使ったエネルギーを引き、身体を正常に働かせるためにどれくらいエネルギーが残っているかを表します。
EA =(摂取エネルギー − 運動による消費エネルギー)÷ 除脂肪量
例えば、
たくさん運動しているのに食事量が少なければ、運動後に身体が使えるエネルギーも少なくなります。
単純に「何kcal食べたか」だけではなく、運動量に対して必要なエネルギーを摂れているかが重要ということです。
■エネルギー利用可能量と睡眠の関係は?
研究対象となったのは、18〜22歳の大学トップレベルの競泳選手26名です。
男性10名、女性16名で、中にはオリンピックやオリンピック選考会への出場経験を持つ選手も含まれていました。
トレーニング量が多い時期に、
どのくらい食べているか
どのくらい運動しているか
どのくらい眠っているか
睡眠の状態はどうか
などを調べています。
食事については3日間の食事記録、運動量や睡眠については、ウェアラブルデバイス(スマートウォッチのような機器)を使用して評価しました。
「食事と運動のバランス」と「睡眠」にどのような関係があるのかを調べた研究です。
■結論:エネルギーが確保されている人ほど睡眠の状態が良かった
REM睡眠 → 脳が情報を整理する睡眠
深い睡眠 → 身体をしっかり休ませる睡眠
睡眠負債 → 足りていない睡眠の積み重ね
と考えるとわかりやすいです。
エネルギー利用可能量が高いほど
〇REM睡眠が長い
〇深い睡眠(SWS)が長い
という関係が確認されました。
特に女性では、エネルギー利用可能量が低いグループと高いグループを比べると、エネルギー利用可能量が高いグループの方が良好な結果が示されています。
〇睡眠負債
約1.5時間 → 約0.9時間
〇REM睡眠
約1.2時間 → 約1.9時間
〇深い睡眠
約0.9時間 → 約1.2時間
つまり、運動量に対して必要なエネルギーを確保できている人ほど、脳や身体を休ませる睡眠が長く、睡眠不足の蓄積も少ない傾向がみられたのです。
■なぜ「食べなさすぎ」が睡眠に関係するのか?
理由の一つとして、
エネルギー状態や食欲、覚醒に関係するホルモンなどの変化が考えられています。
簡単に流れをまとめると、
食事量が少ない・運動量が多い
↓
身体のエネルギーが不足する
↓
レプチンが低下・グレリンが増加
(空腹感・食欲が強くなる)
↓
オレキシンが働きやすくなる
(覚醒を高めて、起きている状態を保つよう働く)
↓
REM睡眠や深い睡眠が短くなる可能性
寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりと、睡眠不足が積み重なる可能性も考えられます。
つまり、
身体のエネルギーが不足すると、単純に「お腹が空く」だけではなく、身体が休息や回復に適した状態を作りにくくなり、睡眠にも影響する可能性があるということです。
■約7割の選手が「運動量に対して食事が足りていなかった」
今回の研究では、選手が運動でエネルギーを使ったあとに、身体を正常に働かせるためのエネルギーがどれくらい残っているかを調べています。
目安となるのが、先ほど説明した「エネルギー利用可能量(EA)」です。
研究では、
45kcal/kg除脂肪量/日以上を最適な状態の目安としています。
この数値を下回ると、運動量に対して身体が使えるエネルギーが十分ではない状態と考えます。
26名の競泳選手のうち、18名(69%)がこの基準を下回っていました。
さらに男女別では、
男性:50%
女性:81%
が最適な水準を下回っていたという結果です。
しっかり食べているように見えるアスリートでも、激しいトレーニングで多くのエネルギーを使うため、身体の回復などに使えるエネルギーが十分に残っていない選手が多かったことがわかります。
「運動で使った分を考えて、身体に必要なエネルギーが残っているか」という視点が大切です。
■ダイエットでは「食べなさすぎ」に注意
今回の研究対象は、一般のダイエット中の方ではなく、トレーニング量の多いエリート競泳選手です。
そのため、「食事量を減らすと睡眠の質が悪くなる」と、この研究だけで断定することはできません。
それでも、ダイエットや身体づくりを考えるうえで興味深い結果です。
体脂肪を減らすためには、ある程度のエネルギー不足を作る必要があります。
しかし、
「早く痩せたいから、とにかく食べない」
と食事量を極端に減らしながら運動量を増やしてしまうと、身体を動かしたり、回復させたりするために必要なエネルギーまで不足する可能性があります。
摂取カロリーは少なければ少ないほど良いわけではないのです。
■身体づくりは「運動・栄養・睡眠」をセットで考える
今回の研究から、栄養状態と睡眠にも関係がある可能性が示されています。
必要なエネルギーを確保する方法として、
1日を通して安定して食事を摂る
適切に間食を取り入れる
就寝3〜4時間前にバランスの取れた食事を摂る
必要に応じて就寝前に軽い間食を摂る
などが挙げられています。
一生懸命トレーニングして、睡眠時間もしっかり確保している。
それでも疲労が抜けにくいのであれば、
「ちゃんと寝ているか?」だけではなく、「身体を回復させるためのエネルギーを摂れているか?」
も意識してみてください。
■まとめ
今回の研究では、エネルギー利用可能量が高いほど
REM睡眠が長い
深い睡眠が長い
睡眠負債が少ない
という関連が確認されました。
ダイエットや身体づくりにおいて、運動量を増やす一方で食事量を極端に減らすことが、良い結果につながるのかは考える必要があります。
身体に必要なエネルギーを確保しながら、無理なく続けられるダイエット、身体づくりを目指していきましょう!
引用文献
Emily A Lundstrom,et al.Association between energy availability and sleep quality in elite female and male swimmers: a brief report.J Int Soc Sports Nutr. 2026 May 3;23(1):2665547.
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