脂肪肝の放置は危険!対策には筋トレ?【最新研究】
- 村上 拓斗

- 8月23日
- 読了時間: 6分

脂肪肝は「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」と呼ばれ、世界的にも非常に多い慢性肝疾患の一つとなっています。
そして脂肪肝は、単に「肝臓に脂肪がついているだけ」と考えて放置してよいものではありません。
肝障害や肝硬変のリスクと関係するだけでなく、メタボリックシンドロームの悪化、慢性腎臓病、心血管疾患、がんなどとも関連することが紹介されています。
では、MASLDの改善にはどのような方法があるのでしょうか?
2026年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、MASLDに対する筋トレ(レジスタンストレーニング)の効果について、これまでの研究結果がまとめられました。
今回はこの研究をもとに、「筋トレは脂肪肝の改善にも役立つのか?」についてわかりやすく解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
■MASLDとは?
MASLDとは、日本語で「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」と呼ばれます。
簡単にいうと、肝臓への脂肪蓄積に加えて、肥満や血糖、血圧、脂質などの代謝異常が関係する脂肪性肝疾患です。
MASLDは世界で最も一般的な慢性肝疾患となっており、世界の成人のおよそ20%が影響を受けているとされています。
つまり、決して珍しいものではありません。
健康診断などで脂肪肝や肝機能異常を指摘された場合は、「症状がないから」と放置するのではなく、適切に対応していくことが必要です。
■MASLD対策では「生活習慣の改善」が重要
MASLDの治療・管理では、生活習慣の改善が重要とされています。
具体的には、
食生活を整える
適正体重を目指す
身体活動量を増やす
運動を習慣化する
といった取り組みです。
では、
「薬で治療することはできないの?」と思う方もいるかもしれません。
MASLDに対する薬物療法の研究が進められている一方で、
治療の中心は依然として生活習慣の改善であるようです。
そのため、食事や体重管理、運動などを通して代謝状態を改善していくことが重要になります。
■筋トレで脂肪肝は改善する?
今回の研究は、MASLD・NAFLDなどと診断された人を対象に、筋トレの効果を調べた研究をまとめたシステマティックレビュー・メタ解析です。
最終的に、11件のランダム化比較試験(RCT)、合計395人が対象となりました。
そのうち、
筋トレ群:203人
対照群:192人
レッグプレス、チェストプレス、ラットプルダウンなど、複数の筋肉を使う全身のレジスタンストレーニングが行われています。
では、どのような結果になったのでしょうか?
■結論① 肝機能の指標「ALT」が低下
まず注目したいのがALTです。
ALTは主に肝臓に存在する酵素で、肝細胞がダメージを受けると血液中に増えるため、健康診断などでも肝機能を確認する指標の一つとして使われています。
筋トレを行ったグループは対照群と比較して、
ALTが平均4.44 U/L低下
統計学的にも有意な差が認められています。
つまり筋トレは、筋肉や体力だけではなく、肝臓に関係する指標にも良い影響を与える可能性が示されたのです。
■結論② 肝臓にたまった脂肪も減少する可能性
さらに重要なのが、
実際に肝臓に蓄積した脂肪がどうなったのかという点です。
画像によって肝脂肪を評価した研究の多くで、肝脂肪の減少が報告されています。
ある研究では8週間の筋トレによって、
肝脂肪:13%減少
さらに興味深いことに、この研究では体重、内臓脂肪量、全身の体脂肪量には有意な変化が認められませんでした。
つまり、
「体重が減らなければ運動の意味がない」とは限らないということです。
体重計の数字に大きな変化がなくても、身体の中では肝臓の脂肪などに良い変化が起こっている可能性があります。
■なぜ筋トレが肝臓に関係するの?
筋トレというと、「筋肉をつけるための運動」というイメージが強いと思います。
しかし、筋肉は身体を動かすだけの組織ではなく、糖や脂質の代謝にも深く関わっています。
実際の論文でも、レジスタンストレーニングによってインスリン感受性や筋肉量、代謝機能が改善することが、MASLDにとって重要であると説明されています。
簡単にイメージすると、
筋トレをする
↓
筋肉やインスリン感受性などの代謝機能が改善する
↓
糖や脂質を処理する身体の働きが改善する
↓
肝臓への脂肪蓄積に良い影響を与える可能性
「筋肉を鍛えること」と「肝臓の健康」は、一見すると別の話に見えますが、代謝という視点では深くつながっているのです。
■どれくらい筋トレすればいい?
では、実際にはどのくらい筋トレを行えばよいのでしょうか?
MASLDに対する筋トレの最低有効量として、
全身の筋肉を使う8〜10種目
1RMの60〜80%程度
週3回以上
12週間以上
が提案されています。
「1RM」とは、1回だけ最大重量のことです。
その60〜80%なので、ある程度しっかりと負荷をかける筋トレになります。
ただし、年齢や運動経験、関節の状態、持病などによって適切な負荷は大きく変わります。
いきなり高い負荷から始めるのではなく、自分の身体に合わせて徐々に運動を進めていくことが大切です。
■有酸素運動が難しい人にも選択肢になる
MASLDの運動療法では、有酸素運動も重要です。
しかし、
「膝や腰が痛くて長時間歩くのがつらい」
「ジョギングを続ける体力がない」
「心肺機能に不安がある」
など、有酸素運動を続けることが難しい方もいます。
肥満や変形性関節症、心肺機能の問題などによって継続的な有酸素運動が難しい人にとって、筋トレが一つの選択肢になる可能性が示されています。
大切なのは、その人の身体の状態に合わせて、安全に継続できる運動を選択することです。
■まとめ
MASLDに対する筋トレは、
ALTを低下させる可能性
肝臓に蓄積した脂肪を減らす可能性
インスリン感受性や代謝機能を改善する可能性
有酸素運動が難しい人の運動選択肢になる可能性
脂肪肝は、肝臓だけではなく全身の健康にも関係する可能性があるからこそ、早い段階から生活習慣を見直していくことが大切です。
筋トレを特別なものではなく、日常生活の中で無理なく続けられる健康習慣の一つとして取り入れていきたいですね。
引用文献
Yun Chen,et al.Resistance training for metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease:a systematic review and meta-analysis.Front Physiol. 2026 Feb 2;16:1679094.
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