空腹時の有酸素運動は脂肪燃焼に効果的?【食後の運動と比較した研究】
- 村上 拓斗

- 2 日前
- 読了時間: 5分

「脂肪を燃やすなら、朝食前に有酸素運動をした方がいい」
そんな話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
確かに、何も食べていない状態で運動すると、運動中は糖質よりも脂質がエネルギーとして使われやすくなります。
そのため、
空腹時に運動する
→ 脂肪をたくさん使う
→ 体脂肪が落ちやすい
と考えるのは自然です。
しかし、「運動中に脂肪を多く使うこと」と「長期的に体脂肪が多く減ること」は、必ずしも同じではありません。
今回は、空腹時と食後の有酸素運動によるダイエット効果を比較した研究をもとに、「脂肪を落とすならいつ運動するべきなのか?」についてわかりやすく解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
■なぜ空腹時の運動は脂肪燃焼に良いと言われる?
食事
↓
血糖値が上昇
↓
インスリンが分泌
インスリンには脂肪組織からの脂肪酸の放出を抑える働きがあり、食後の運動では脂質の利用が低下する場合があります。
一方、空腹時はインスリンが低い状態にあるため、
脂肪組織から脂肪酸が放出されやすい
↓
運動中の脂質利用が増える
という流れが考えられます。
実際に過去の短期的な研究では、食後より空腹時の運動で脂質酸化が高くなることが報告されています。
では、これを数週間続ければ、本当に体脂肪も多く減るのでしょうか?
■空腹時と食後で体脂肪の減り方は変わる?
今回の研究では、健康な若年女性20名を対象に、参加者を2つのグループに分けました。
①空腹時運動グループ:10名
②食後運動グループ:10名
両グループとも、
週3回・1回60分の有酸素運動を4週間実施しました。
運動内容は、
トレッドミルを使用
5分間のウォームアップ
最大心拍数の70%程度で50分間運動
5分間のクールダウン
参加者には体重を減らすための食事プランが設定され、推定される必要エネルギー量から1日500kcalを減らすように設計されました。
タンパク質は体重1kgあたり1.8gに設定。
同じようにカロリー制限をしながら、運動を空腹時にするか、食後にするか
によって体脂肪の減り方が変わるのかを調べた研究です。
■結論:どちらも脂肪は減った
4週間後、両グループとも体重と体脂肪量が減少しました。
具体的には、
〇体重
空腹時:62.4kg→60.8kg
食後:62.0kg→61.0kg
〇体脂肪量
空腹時:16.5kg→15.4kg
食後:15.7kg→15.0kg
〇ウエスト
空腹時:77.5cm→75.9cm
食後:77.7cm→75.7cm
体脂肪量が、
空腹時グループでは約1.1kg
食後グループでは約0.7kg減っています。
一見すると空腹時の方が減っているように見えますが、4週間の研究では、統計的にはグループ間に有意な差は認められませんでした。
つまり今回の研究では、
「空腹時に有酸素運動をした方が体脂肪が落ちやすい」とはいえなかったということになります。
■運動中に脂肪を燃やしても、体脂肪が多く減るとは限らない
ここが今回の研究で非常に重要なポイントです。
私たちの身体は、運動している1時間だけでエネルギーを調整しているわけではありません。
例えば、
ある時間帯に脂質を多くエネルギーとして使った場合
→その後は糖質の利用が増えるなど、身体はエネルギー源の利用割合を変化させます。
そのため、
空腹時運動
↓
運動中の脂質利用が増える
↓
1日の脂肪消費量も必ず増える
とは限らないのです。
論文でも、ある時間帯で脂質利用が増えると、その後帳尻を合わすように糖質利用が増えることで1日を通してみるとその差は小さくなっている可能性が指摘されています。
体脂肪への影響を考える場合、運動中の数十分〜1時間だけを切り取ってみるのではなく、1日あるいは数日単位で考える必要がありそうです。
■「空腹か食後か」にこだわりすぎなくていい
今回の結果から、
「脂肪を落としたいから絶対に空腹時に運動をしなければならない」と考える必要はなさそうです。
空腹時でも食後でも、カロリー収支を整えて運動を行えば、体重や体脂肪の減少は期待できます。
例えば、
朝食前のウォーキングが気持ちよく続けられるなら空腹時でも構いません。
逆に、
「空腹だと力が出ない」
「お腹が空いて運動がつらい」
という方は、無理に空腹状態で運動する必要はありません。
ご自身にとって続けやすいタイミングで習慣化することの方が大切だと言えます。
■注意点
参加者が20名と少なく研究期間が4週間と短いことや食事摂取量の一部が自己申告などいくつかの限界があります。
そのため、より多くの参加者を対象とした長期間の研究が必要だとしています。
少なくとも「空腹時に運動すれば明らかに体脂肪が落ちやすくなる」という結果は確認されなかったと捉えるのが妥当でしょう。
■まとめ
空腹時でも食後でも体重・体脂肪量の減少に明確な差はなかった
「空腹時に有酸素運動をすると脂肪が燃えやすい」
これは、運動中のエネルギー利用だけを考えれば一定の理屈があります。
しかし、ダイエットで重要なのは運動中にどれだけ脂肪を使ったかではなく、長期的に体脂肪がどれだけ減ったかです。
空腹時か食後かよりも、食事によって適切なエネルギー収支を作り、自分が継続しやすいタイミングで運動を続けることの方が重要だと考えられます。
引用文献
Brad Jon Schoenfeld,et al.Body composition changes associated with fasted versus non-fasted aerobic exercise.J Int Soc Sports Nutr. 2014 Nov 18;11:54.
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