『気合』は根性論ではなかった【筋トレの科学】
- 村上 拓斗

- 5月17日
- 読了時間: 3分

トレーニング中、皆さんはどのように気持ちを作っていますか?
「大声を出す」「お気に入りの音楽を聴く」「深呼吸をする」等、バーベルに向かう際の気合の入れ方は人それぞれかと思います。
あるいは、特にルーティーンがない方も中にはいるのではないでしょうか。
実は、気合を入れる行為は決して根性論なんかではなく、科学が証明したパフォーマンス向上戦略なのです。
今回は「筋力を最大限に引き出すためのメンタルの作り方」をわかりやすく解説していきます。
是非、最後まで読んでみてください!
■気合を入れる(サイキングアップ)と何が変わる?
対象:大会出場経験のあるパワーリフター等200名
種目:デッドリフト
比較:①何もせず普通に引く(=サイキングアップなし)
②直前に気合を入れてから引く(=サイキングアップあり)
分析:挙上速度
■結論:サイキングアップで挙上速度が向上
サイキングアップなし:平均速度0.34m/s
サイキングアップあり:平均速度0.39m/s
→同じ重さのバーベルを18.58%も速く引き上げられた
これは最大挙上重量(1RM)に換算すると
約4.3%の筋力アップ
に相当します。
例えば
最大挙上重量(1RM):150㎏ →156㎏
約6㎏の上乗せに相当するということです。
■なぜ挙上速度が向上した?
①交感神経の活性化
大声を出す、体を叩く、激しい音楽を聴くなど「覚醒促進系」の戦略をとることで
→アドレナリン分泌
→心拍数、血流が増加
結果的に筋肉に対して素早く強い電気信号を送れるようになり、爆発的に速く引き上げることが可能
②興奮レベルのコントロール
興奮度が最適なポイントを超えると不安やパニックに変わり、かえって実力が発揮できない場合(逆U字理論)があり、不安や緊張を感じやすい人は興奮レベルが過剰になりがちです。
一定のルーティーン、成功イメージなど「覚醒減少系」の戦略をとることで
→過剰な緊張を抑え、最も力が出るゾーンに心身が落ち着く
③プレパフォーマンスルーティーン効果
失敗やケガへの恐怖、弱気な心理は脳の行動制御システム(BIS)が働き、本来の力が発揮できないことがわかっています。
バーベルを握るまでの手足の順番や動き、深呼吸の回数等いつもの通りの手順(プレパフォーマンスルーティーン)を毎回一定にすることで、脳がこの制御システムをシャットアウトし「今から最大出力を出す」脳へと切り替わる
→迷いや不安がない分、バーベル引き始めの爆発力が向上した
■サイキングアップの選び方
自身の性格に合わせて方法を選ぶと良いです。
①覚醒促進系
興奮するシチュエーション、スリルやリスクが好きな人
怒りや悔しさをエネルギーに変えるのが得意な人
本番でも緊張せず、プレッシャーに強い人
②覚醒減少系
ミスや失敗に慎重で、不安を感じやすい人
緊張しすぎるとガチガチになる人
いつも通りのルーティーンを行うと安心する人
■まとめ
サイキングアップで挙上速度向上
交感神経が活性化する
興奮レベルをコントロールすることができる
ルーティーンが脳に作用し不安や迷いを消す
是非、次のトレーニングから意識して試してみてください!
引用文献
Kurtis Cusimano,et al.The Effects of Psyching-Up on Deadlift Performance in Competitive Strongmen, Strongwomen, and Powerlifters.J Strength Cond Res.2026 May 1;40(5):576-584.
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