脂肪肝に「筋トレ+HIIT」は効果的?12週間の複合運動で起きた変化
- 村上 拓斗

- 8月25日
- 読了時間: 4分

前回の記事では、MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)に対する筋トレの効果について解説しました。
MASLDの改善を考えるうえで運動は重要ですが、一口に「運動」といっても、その方法はさまざまです。
筋トレだけでなく、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動もあれば、短時間の高強度運動と休息を繰り返すHIIT(高強度インターバルトレーニング)もあります。
2026年に発表された研究では、MASLDの男性を対象に、12週間の筋トレ+HIITを行い、肝機能や血中脂質、体組成、心肺機能などにどのような影響を与えるのかが調査されました。
今回は筋トレの話からもう一歩進んで、「筋トレとHIITを組み合わせることの可能性」について詳しく解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
■筋トレとHIITにはそれぞれ違った特徴がある
今回の研究で注目されたのが、筋トレとHIITです。
〇HIITの特徴
HIITは、高強度の運動と休息を繰り返すトレーニング方法です。
→運動中のエネルギー消費を高める特徴があり、
体重
血中脂質
血圧
コレステロール
などMASLDに関係する指標を改善する可能性が紹介されています。
一方で、強度が高いため疲労や不快感を感じやすく、長期間継続しにくいという弱点もあります。
〇筋トレの特徴
筋力・筋肉量の向上
骨密度の改善
エネルギー消費の増加
血圧の低下
体脂肪の減少
→比較的少ないエネルギー消費でも代謝に関係する指標を改善できる可能性
体重や心肺機能に不安があり、有酸素運動を十分に行うことが難しい方にも取り入れやすいのも特徴です。
■筋トレとHIITを組み合わせたらどうなるのか?
研究には、30〜50歳のMASLDを持つ男性20名が参加しました。
20名はランダムに、
運動グループ:10名
運動しない対照グループ:10名
に分けられ、
12週間
週3回
1回45〜60分の運動
を実施しました。
内訳は、
筋トレ:週2回
HIIT:週1回
筋トレは、
1RMの60〜75%
8〜12回×3セット
セット間休憩1〜2分
HIITは、
心拍予備能の77%または最大心拍数の84%の強度
3分間の高強度運動×4セット
セット間休息3分
後半6週間では、5セットへ増やしています。
12週間で身体はどう変わったのでしょうか?
■結果①肝機能に関係する数値が低下
まずは、
ALT・AST・ALPといった肝酵素です。
運動グループでは、
ALT:58.3 → 44.9
AST:33.6 → 30.6
ALP:210.0 → 199.5
と変化しました。
統計解析でもALT・AST・ALPにはグループ間の有意な効果が報告されています。
12週間の筋トレ+HIITによって、肝機能に関係する指標が改善した可能性が示されました。
■結果②中性脂肪やコレステロールにも変化
運動グループでは、
中性脂肪(TG):295.9 → 233.1
総コレステロール:166.3 → 149.3
LDL:91.1 → 80.0
HDL:35.8 → 39.0
MASLDは肝臓だけではなく全身の代謝状態とも関係するため、こうした変化は非常に興味深い結果だと言えます。
■結果③心肺機能も向上
心肺機能を表すVO2max(最大酸素摂取量)にも変化が確認されました。
VO2maxとは簡単にいうと、
「身体が酸素を取り込み、運動に利用できる能力」を表す指標です。
運動グループでは、
28.96 → 31.31
へ増加しています。
■結果④体重はほとんど減っていない
運動グループでは、
体重:94.45kg → 93.70kg
BMI:30.72 → 30.53
つまり、体重はそれほど大きく変化していません。
一方で平均体脂肪率は、
34.10% → 29.32%
ただし、統計解析では体重と体脂肪率について明確なグループ効果は確認されていません。
体重が大きく減っていないにもかかわらず、肝酵素や血中脂質、VO2maxなどには変化が確認されたという点が最大のポイントです。
■注意点
論文では、今回の研究について複数の限界が挙げられており、特に食事が管理されていないことは重要です。
論文では、摂取カロリーや栄養素の構成、特に飽和脂肪酸や単純糖質、さらに食事のタイミングなどによって、脂質代謝や肝酵素、肝臓への脂肪蓄積が変化する可能性があると指摘しています。
そのため、今回確認された変化のすべてを、「運動だけの効果」と切り分けることは難しいとされています。
■まとめ
筋トレ+HIITを組み合わせた運動が肝酵素や血中脂質、VO2maxなど複数の指標に改善が確認
筋トレか、有酸素運動かと二者択一で考えるのではなく、それぞれの特徴を活かしながら運動を継続していくことも一つの方法です。
将来の健康のためにも、できることから少しずつ身体を動かす習慣をつくっていきましょう。
引用文献
Pardis Fazli Mali Darreh,et al. Effects of combined resistance and high-intensity interval training on some biomarkers in men with metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease.Sci Rep. 2026 Jul 9.
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