『筋肉が増えると代謝が上がって痩せる』は本当?日本人アスリートを調べた最新研究

釧路市鳥取にあるパーソナルジムR. Physio labスタッフの村上です!
「筋肉をつけると代謝が上がって痩せやすくなる」
一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
では実際に、筋肉量と安静時代謝にはどのような関係があるのでしょうか?
2026年に発表された研究では、日本人の男性・女性アスリートを対象に、体脂肪量や除脂肪量、骨格筋量などの体組成と「安静時代謝量(RMR)」の関係が調査されました。
今回はこの研究をもとに、「筋肉と代謝の関係」についてわかりやすく解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
■安静時代謝量(RMR)とは?
安静時代謝量(Resting Metabolic Rate:RMR)とは、身体を安静にしている状態でも消費されるエネルギー量のことです。
私たちは運動していないときでも、
呼吸をする
心臓を動かす
体温を維持する
脳や内臓を働かせる
など、生命を維持するために常にエネルギーを使っています。
1日の総エネルギー消費量は主に、
「安静時代謝+身体活動による消費+食事誘発性熱産生」
によって構成されており、安静時代謝はエネルギー必要量を考えるうえで重要な要素です。
■どんな研究?
今回の研究では、日本の全国レベルのアスリート121名が対象となりました。
男性74名:平均20歳
女性47名:平均21歳
長距離走、短距離走、野球、アメリカンフットボール、サッカー、ラグビー、ラクロス、スキーなど、さまざまな競技の選手が含まれています。
体組成についてはDXA(二重エネルギーX線吸収測定法)を用いて評価し、
脂肪量や除脂肪量などを調べ、測定データから骨格筋量を推定しました。
脂肪量(FM)
除脂肪量(FFM)
骨量(BM)
骨格筋量(SMM)
など、身体にどれくらい脂肪や筋肉があるのかを調べ、
さらに呼吸からエネルギー消費量を測定する方法を使って安静時代謝を測定しています。
■男性のほうが代謝は高かった
まず1日あたりの安静時代謝量は、
男性:約1,625kcal
女性:約1,135kcal
男性のほうが約490kcal高い結果です。
これだけを見ると、
やっぱり男性のほうが代謝が高いんだと思いますよね。
しかし、ここで重要なのが身体の大きさや体組成の違いです。
特に大きく違ったのが除脂肪量です。
■「除脂肪量」って何?
除脂肪量(FFM)とは、「体重から脂肪を除いた重さ」を指します。
筋肉や骨、内臓、水分などが含まれます。
今回の研究では、
男性:約59.2kg
女性:約42.7kg
と、男性のほうが除脂肪量がかなり多くなっていました。
骨格筋量は、
男性:約30.7kg
女性:約20.5kg
単純に「男性だから代謝が高い」というより、
身体が大きく、筋肉などの除脂肪量が多いことが関係している可能性があるということです。
■身体の大きさを揃えて考えるとどうなる?
ここが今回の研究の面白いところです。
「除脂肪量1kgあたり、どのくらいエネルギーを使っているのか?」
を比較すると、
男性:27.5kcal/kg/日
女性:26.7kcal/kg/日
男性のほうが安静時代謝量は高いが、
除脂肪量あたりで考えると明確な男女差はなかったということになります。
つまり、
「男性だから」「女性だから」という性別だけで代謝を考えるのではなく、その人がどれくらいの筋肉や除脂肪量を持っているのかも重要ということですね。
■筋肉量が多い人ほど安静時代謝も高かった
男性・女性ともに、
除脂肪量(FFM)が多いほどRMRが高い
骨格筋量(SMM)が多いほどRMRが高い
という有意な正の相関が認められました。
今回の研究からは、少なくともアスリートでは、筋肉を含む除脂肪量が安静時代謝と強く関連していることが示されています。
■「筋肉1kg増えれば代謝が何十kcal上がる」とは限らない
ここは非常に重要です。
今回の結果だけを見て、
「筋肉を増やせば基礎代謝が大幅に上がる」と考えるのは少し注意が必要です。
論文では、
骨格筋そのものの組織1kgあたりの代謝率として約13kcal/kg/日
という先行研究の値が紹介されています。
一方で、
脳や心臓、肝臓、腎臓などの臓器
→筋肉よりも重量あたりの代謝率がかなり高いことが説明されています。
つまり、安静時代謝は筋肉だけで決まっているわけではありません。
「筋肉を○kg増やした結果、安静時代謝量が○kcal増えた」という因果関係を調べた研究ではない点には十分注意し、「筋肉量が多い人ほど安静時代謝量が高かった」という関連性を示した研究として捉える必要があります。
■女性では体組成だけでは説明できない部分も大きかった
今回、個人的にかなり興味深いポイントがここです。
体組成を用いた統計モデルで説明できた安静時代謝量の個人差は
男性:約80%
女性:約40%
と大きな違いがあり、
女性では、筋肉量や除脂肪量だけでは安静時代謝の個人差を十分に説明できなかったようです。
その可能性として、
脂肪分布
内分泌状態
月経に関連するホルモン変動
エネルギー利用可能性
長期間のトレーニングによる代謝適応
などが考察されています。
これらすべてを実際に測定し、原因なのか確認したわけではないため、
特に女性の代謝を「筋肉量だけ」で判断するのは難しい可能性があります。
■ダイエットで大切なのは「筋肉を残す」こと
では、この研究をダイエットにどう活かせばいいのでしょうか?
ダイエットでは体重を減らすことばかり考えてしまいがちです。
しかし、減った体重がすべて脂肪とは限りません。
食事を極端に減らして体重を落とせば、筋肉などの除脂肪量まで減ってしまう可能性があります。
今回の研究では、除脂肪量や骨格筋量が安静時代謝と関連していました。
「筋肉を維持しながら脂肪を減らす」という考え方を重要視したダイエットを進めていきましょう!
■まとめ
今回の研究では、日本人アスリートを対象に、体組成と安静時代謝量の関係が調査されました。
その結果、
男性の方が安静時代謝量は高かった
除脂肪量あたりでは明確な男女差はなかった
男女ともに除脂肪量・骨格筋量が安静時代謝量と関連していた
一方、女性では体組成だけで説明できない安静時代謝量の個人差が大きかった
「筋肉をつければ一気に代謝が上がって痩せる」というほど単純ではありません。
しかし、筋肉を含む除脂肪量は、私たちの安静時代謝と深く関係する重要な要素のひとつと考えられます。体重の数字だけを見るのではなく、筋肉を維持・向上させながら身体を変えていくことが大切です!
引用文献
Miura N, Goshozono M, Moto K, et al. Body composition components associated with sex differences in resting metabolic rate among Japanese athletes. Frontiers in Sports and Active Living. 2026;8:1816324.
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