【健康寿命の延伸】死亡リスクが最も低かった運動の組み合わせとは?
- 村上 拓斗

- 5 日前
- 読了時間: 5分

運動不足が身体に良くないことは、多くの方が知っていると思います。
一方で、実際に運動を始めようとすると、「どんな運動をすればいいのか」までは意外とわかりにくいものです。
実は、健康への影響を考えるうえでは、運動する時間だけではなく、「運動の強度」も重要かもしれません。
2026年に発表された研究では、中強度運動のみ、高強度運動のみ、そして両方を組み合わせている人で、死亡リスクにどのような違いがあるのかが調べられました。
今回はこの研究をもとに、運動の「強度」と長期的な健康の関係についてわかりやすく解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
■中強度運動と高強度運動とは?
今回の研究では、運動を大きく「中強度運動」と「高強度運動」に分けています。
中強度運動:軽く汗をかいたり、呼吸や心拍数が少し上がったりする程度の運動。
高強度運動:しっかり汗をかき、呼吸や心拍数が大きく上がる程度の運動。
また、現在の身体活動ガイドラインでは、成人に対して1週間あたり、
中強度運動:150〜300分
または、
高強度運動:75〜150分
あるいは、その両方を組み合わせて行うことが推奨されています。
■運動強度と死亡リスクは関連するのか?
今回の研究では、アメリカの成人586,936名が対象となりました。
1997〜2018年に行われた調査データを使用し、死亡については2019年末まで追跡されています。
参加者は運動習慣によって、
①運動なし
②中強度運動のみ
③高強度運動のみ
④中強度+高強度運動
の4つに分類され、
それぞれの運動習慣と、
全死亡
心血管疾患による死亡
がんによる死亡
との関係が調べられました。
■結論:中強度と高強度を組み合わせた人で死亡リスクが最も低かった
運動をしていない人と比較した全死亡リスクは、
中強度運動のみ:26%低い
高強度運動のみ:44%低い
中強度+高強度運動:50%低い
単に運動をするだけではなく、
中強度と高強度の両方を取り入れていた人で最も良好な結果がみられたことになります。
■心血管疾患やがんでも同じ傾向
リスク低下が見られたのは、全死亡だけではありません。
運動をしていない人と比較すると、心血管疾患による死亡リスクは、
中強度運動のみ:31%低い
高強度運動のみ:51%低い
中強度+高強度運動:58%低い
また、がんによる死亡リスクは、
中強度運動のみ:23%低い
高強度運動のみ:41%低い
中強度+高強度運動:48%低い
心血管疾患やがんについても、
中強度と高強度を組み合わせている人で死亡リスクが最も低い傾向がみられました。
■高強度運動はどのくらい取り入れるといい?
今回の研究では、中強度と高強度を組み合わせている人について、
「運動全体のうち、高強度運動がどのくらいを占めているのか」
についても分析しています。
結果、
高強度運動が運動量全体の25%を超えている人では、死亡リスクがより低い傾向
が示されています。
健康を考えるうえでは単純に「どのくらい運動するか」だけではなく、
運動の中にある程度、強度の高い活動を取り入れることも重要かもしれません。
■なぜ高強度運動を組み合わせると良いのか?
今回の研究だけでメカニズムが証明されたわけではありませんが、いくつかの可能性が考察されています。
高強度運動では、より大きな生理学的な適応が起こることで、
心拍出量や毛細血管密度の増加
血管内皮機能の改善
末梢血管抵抗の低下
最大酸素摂取量の改善
血圧や血中脂質の改善
抗炎症作用
などにつながる可能性。
一方、中強度運動にも、血糖コントロールやインスリン感受性、血圧などへのメリットがあります。
そのため、
中強度運動+高強度運動
↓
異なる強度で身体に刺激が入る
↓
心肺機能・血管機能・代謝などに幅広く働く
↓
長期的な健康につながる可能性
中強度運動と高強度運動は、異なるものの互いに補い合う生理学的な経路を通して健康効果をもたらす可能性が指摘されています。
■注意点:「きつい運動だけすればいい」わけではない
ここで注意したいのが、
「高強度運動が良いなら、ウォーキングなどの中強度運動は必要ない」というわけではないことです。
今回の研究で最も死亡リスクが低かったのは、
高強度運動だけをしていた人ではなく、
中強度と高強度の両方を行っていた人でした。
また、論文でも中強度運動について、「多くの成人にとって効果的で、取り組みやすく、安全性の高い選択肢である」と強調しています。
普段ほとんど運動をしていない方であれば、いきなり激しい運動を始める必要はありません。
まずは、
ウォーキングなどから身体を動かす習慣をつくる
慣れてきたら速歩きや坂道、ジョギングなど、少し息が上がる運動を取り入れる
段階的に無理のない範囲で取り入れていきましょう!
■まとめ
運動をしていない人と比較して、中強度運動や高強度運動をしている人では死亡リスクが低い傾向
中強度と高強度を組み合わせた人で死亡リスクが最も低かった
心血管疾患、がんによる死亡リスクも同様に組み合わせで最も死亡リスクが低かった
高強度運動が運動量全体の25%を超えている人では、死亡リスクがより低い傾向
中強度、高強度運動は、互いに補い合う生理学的な経路を通して健康効果をもたらす可能性がある
「運動するかどうか」だけではなく、「どのくらいの強度で身体を動かすか」も意識することが、長期的な健康づくりのポイントになりそうですね!
引用文献
Yongyu Huang,et al.Associations of Combined Moderate and Vigorous Physical Activity With All‐Cause, Cardiovascular, and Cancer Mortality: A Cohort Study of 586 936 US Adults.J Am Heart Assoc. 2026 Jun 23;15(13):e051199.
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