HIITは女性のダイエットに効果的?最新研究でわかった体脂肪・心肺機能・コレステロールへの影響
更新日:10月13日

釧路市にあるパーソナルジムR.Physio labスタッフの村上です!
「ダイエットしたいけど、運動する時間がない」
「効率よく体脂肪を減らしたい」
このようなお悩みを抱えている女性への選択肢の一つとなるのがHIITです。
近年、肥満は世界的な健康問題となっており、特に女性では年齢やホルモンの変化によって体脂肪の蓄積や脂質代謝に変化が生じることがあります。
2026年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、過体重や肥満などの成人女性を対象に、HIITが体重・体脂肪・心肺機能・コレステロールに与える影響が検証されました。
今回はこの研究をもとに、女性の肥満が増加している背景や、HIITによって期待できる効果について、わかりやすく解説していきます!
ぜひ最後まで読んでみてください!
■世界的に女性の肥満が増加している?
近年、肥満は世界的に増加しています。
今回の論文では、2022年に世界で約25億人の成人が過体重であり、そのうち8億9,000万人以上が肥満に該当すると報告されています。
さらに、女性の肥満率にも大きな変化がみられています。
〇世界の成人女性における年齢調整肥満率
1990年:8.8%
2022年:18.5%
つまり、約30年間で女性の肥満率は2倍以上に増加したことになります。
肥満は見た目や体重だけの問題ではありません。
過剰な体脂肪の蓄積は、2型糖尿病や心血管疾患など、さまざまな健康問題と関係し、体脂肪を適切に管理することが健康的な身体を維持することにつながります。
■なぜ女性は体脂肪が増加しやすくなる?
女性の体脂肪の増加には、食事や運動習慣だけでなく、年齢やホルモンの変化なども関係しています。
① 女性ホルモンの変化
特に更年期から閉経後にかけては、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌低下に伴い、腹部を中心とした脂肪の蓄積や、血中脂質の変化が起こりやすくなることがあります。
② 年齢による筋肉量や活動量の変化
一般的に、年齢を重ねると筋肉量や身体活動量が減少する場合があります。
筋肉量や活動量が減少すると、1日のエネルギー消費量も低下しやすくなります。
そのため、以前と同じ食生活でも、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスによっては体脂肪が増加する可能性があります。
③ 脂肪の蓄積する場所の変化
女性は年齢やホルモンの変化によって、体脂肪の分布が変化することがあり、特に閉経後は、お腹周りに脂肪が蓄積しやすくなる傾向があります。
腹部の脂肪、特に内臓脂肪の増加は、糖代謝や脂質代謝の異常と関係するため注意が必要です。
つまり、女性のダイエットでは、単に体重を減らすだけでなく、年齢や身体の変化に合わせて体脂肪を適切に管理することが重要なのです。
■HIIT(高強度インターバルトレーニング)とは?
HIITとは、強度の高い運動と休息、または低強度の運動を交互に繰り返すトレーニング方法です。
例えば、
① 強度の高い運動を30秒間行う
② ゆっくり動く、または60秒間休息する
③ この流れを数回繰り返す
ウォーキングやジョギングなどの一般的な有酸素運動では、一定の強度で運動を継続することが多いですが、HIITでは運動強度にメリハリをつけます。
そのため、比較的短い時間でも心肺機能に強い刺激を与えられることが特徴です。
ただし、上記の30秒・60秒という設定は説明用の一例であり、今回の研究で最適と確認された方法ではありません。
■HIITのダイエット効果を検証
研究方法:システマティックレビュー・メタ解析
対象:過体重・肥満、または体脂肪率が高い成人女性
採用研究:15件のランダム化比較試験
介入期間:主に3〜18週間
運動頻度:週3回が最も多い
比較:HIITを実施したグループと、計画的な運動を実施しなかったグループ
研究では、HIITが以下の項目に与える影響を調べています。
① 体重
② BMI
③ 体脂肪率
④ 体脂肪量
⑤ 最大酸素摂取量(心肺機能)
⑥ 血中脂質(コレステロール・中性脂肪など)
複数のランダム化比較試験の結果を統合し、HIITの効果を総合的に検証した研究です。
■研究結果① HIITで体重・体脂肪が減少
今回の研究では、HIITを実施したグループは、運動を実施しなかったグループと比較して、
体重:有意に減少
BMI:有意に減少
体脂肪率:有意に減少
体脂肪量:有意に減少
体重だけでなく体脂肪に関する指標にも改善が認められたため、HIITは体組成の改善に役立つ可能性が示されました。
■研究結果② 心肺機能の改善
今回の研究では、
最大酸素摂取量(VO₂max)または最高酸素摂取量(VO₂peak)が有意に改善しています。
最大酸素摂取量とは、運動中に身体が取り込んで利用できる酸素量の能力を示す指標です。
簡単にいうと、全身に酸素を届けて、運動のエネルギーを作り出す能力を表しています。
この能力が高まると、
例えば、
階段を上るときの息切れが少なくなる
長時間歩いても疲れにくくなる
ジョギングなどの持久的な運動能力が向上する
といったメリットが期待できます。
HIITは体脂肪の減少だけでなく、身体を動かすための体力向上にも役立つ可能性があると言えます。
■コレステロールにも良い影響?
結果をまとめると、以下のようになります。
① HDLコレステロール(善玉)が増加
HDLには、血管などにある余分なコレステロールを回収し、肝臓へ運ぶ働きがあります。
HDLが適切に働くことは、血管の健康を保つうえで重要です。
② LDLコレステロール(悪玉)が減少
LDLには、コレステロールを全身に運ぶ働きがあります。
しかし、血液中に増えすぎると動脈硬化のリスクが高まります。
③ 中性脂肪や総コレステロールは?
一方、総コレステロールと中性脂肪については、統計的に有意な改善が認められませんでした。
総コレステロールは善玉と悪玉などを合わせた数値なので、善玉が増えて悪玉が減るように動くと、合計では差が出にくい可能性があると研究者らは考察しています。
また、中性脂肪は直前の食事などの影響も受けやすいため、今回の結果だけで「効果がない」とは言い切れません。
HIITは体脂肪の減少だけでなく、血管の健康を維持するうえでも役立つ可能性がある運動方法になりそうです。
■なぜHIITは体脂肪の減少に役立つ可能性がある?
ここでは、HIITによって体脂肪の減少が期待される理由を解説します。
① エネルギー消費の増加
体脂肪を減らすためには、基本的に消費エネルギーが摂取エネルギーを上回る状態を作る必要があります。
HIITは高い運動強度を伴うため、運動中のエネルギー消費を増やす手段の一つになります。
ただし、短時間のHIITが必ず長時間の有酸素運動よりも多くのカロリーを消費するわけではありません。
実際の消費エネルギーは、運動時間や強度、体格などによって変化します。
② 脂肪をエネルギーとして利用する能力の改善
私たちの身体は、糖質や脂質をエネルギー源として利用しています。
HIITを継続することで、筋肉の酸化能力や脂肪酸を利用する能力が改善する可能性があります。
ここで重要なのが、脂肪をエネルギーとして利用する能力が高まることと、体脂肪が減ることは同じではないという点です。
体脂肪の減少には、長期的なエネルギー収支が大きく関係しています。
③ 心肺機能の向上
HIITでは、心臓や呼吸循環系に比較的大きな負荷がかかります。
こうした刺激を継続することで、酸素を取り込み、全身へ運び、筋肉で利用する能力の向上が期待できます。
また、筋肉内でエネルギーを作り出すミトコンドリアの機能が改善する可能性も考えられています。
■HIITは週に何回行えばいい?
今回の研究では、
週3回のHIITを実施した研究が最も多く、介入期間は主に3〜18週間でした。
また、運動頻度が高い研究ほど体脂肪率の改善が大きい可能性を示す探索的な解析もありました。
しかし、研究数が限られているため、週3回が最適、あるいは回数を増やせば必ず効果が高まると結論づけることはできません。
特に運動初心者の場合、いきなり高強度の運動を行うと身体への負担が大きくなる可能性があります。
まずはウォーキングや軽い自転車運動などから始め、体力に合わせて段階的に強度を高めることが重要です。
■ダイエットではHIITと筋トレ、どちらが重要?
ダイエットでは体脂肪を減らすことに加えて、筋肉量を維持することも重要です。
実際の運動プログラムでは、HIITだけにこだわる必要はありません。
例えば、
〇食事管理
適切なエネルギー収支を作り、必要な栄養素を確保する。
〇筋力トレーニング
減量中の筋肉量維持や筋力向上を目指す。
〇有酸素運動
ウォーキングや自転車運動、体力に応じたHIITなどを取り入れる。
このように、それぞれの運動の特徴を生かして組み合わせていきましょう!
■HIITは忙しい女性でも取り入れやすい
運動をしなければと思っていても、
「仕事や家事で時間がない」
「長時間の運動を続けるのは難しい」
「短時間で効率よく運動したい」
という方も多いのではないでしょうか?
HIITの特徴は、比較的短い時間でも高い運動刺激を与えられることです。
また、ランニングやエアロバイクなど、さまざまな運動方法で実施できるため、運動環境や体力に応じてプログラムを調整できます。
ただし、運動強度が高いため、すべての方に取り入れやすいとは限りません。
特に運動初心者や体力に不安がある方は、ウォーキングなどの低〜中強度の運動から始め、段階的に運動強度を高めることが大切です。
■注意したいポイント
今回の研究では、いくつかの限界もあります。
採用された研究は15件と比較的少ない
各研究の参加人数が少ない
HIITの内容や運動期間に違いがある
研究によって結果にばらつきがある
安全性や長期的な継続について十分な情報がない
さらに、研究結果の確実性は、
体重について:「低い」
その他の評価項目について:「非常に低い」
と判定されています。
したがって、HIITの効果には期待できるものの、現時点では結果を慎重に解釈する必要があります。
■まとめ
今回の研究では、過体重や肥満の成人女性において、HIITを実施することで以下のような効果が期待できる可能性が示されました。
体重・BMIの減少
体脂肪率・体脂肪量の減少
心肺機能の向上
HDL・LDLコレステロールの改善の可能性
HIITは比較的短い時間でも運動刺激を与えられるため、忙しい方にとって運動の選択肢となるでしょう。
自分の体力や生活習慣に合わせて無理なく継続すること大切に取り組んでみてはいかがでしょうか?
引用文献
Wang Y, Tan Q, Zhong J, Zhang C, Wang Y, Gao W, Li M. Effects of high-intensity interval training on body composition, cardiorespiratory fitness, and selected lipid outcomes in adult women with overweight or obesity: a systematic review and meta-analysis.Frontiers in Physiology, 17, 1904753.
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