【中性脂肪対策】どんな運動を「どれくらい」すればいい?

釧路市鳥取にあるパーソナルジムR.Physio labスタッフの村上です!
「健康診断で中性脂肪が高いと言われた」
「更年期に入ってから、体重や体脂肪が増えやすくなった」
このような悩みを抱えている女性も多いのではないでしょうか?
閉経後は、エストラジオールの低下などに伴って脂質代謝や体組成が変化し、総コレステロールやLDLコレステロール、中性脂肪などが上昇しやすくなることが報告されています。
そこで気になるのが、
「中性脂肪を改善するためには、どんな運動を、どれくらいすればいいのか?」ということ。
2026年に発表された研究では、閉経後女性を対象として運動の種類だけではなく、運動量と中性脂肪の変化の関係まで詳しく分析しています。
今回はこの研究をもとに、更年期以降の女性における「運動と中性脂肪」について、わかりやすく解説していきます!
ぜひ最後まで読んでみてください!
■そもそも中性脂肪とは?
中性脂肪(トリグリセリド:TG)は、身体にとって重要なエネルギー源のひとつです。
そのため、中性脂肪そのものが「悪いもの」というわけではありません。
一方で、血液中の中性脂肪が高い状態は、特に閉経後女性において心血管リスクと関連することが報告されています。
だからこそ、食生活だけではなく、日常的に身体を動かす習慣を作ることも重要になってきます。
■どんな運動をどれくらいすればいい?
今回の研究は、閉経後女性を対象に行われた51件のランダム化比較試験(RCT)・合計2,046人をまとめたシステマティックレビュー・ネットワークメタ解析です。
対象となった運動は、
有酸素運動(AE)
筋力トレーニング(RT)
有酸素運動+筋トレ(CE)
高強度インターバルトレーニング(HIIT)
51件の内訳は、
有酸素運動39件、筋トレ12件、複合運動12件、HIIT3件でした。
さらに今回の研究がおもしろいのは、
「どの運動がいいのか?」だけではなく、「どれくらいやればいいのか?」まで分析している点です。
運動量を「MET-min/週」という指標に統一して、中性脂肪との関係を調べています。
MET-min/週は簡単にいうと、
「運動の強度 × 運動時間 × 頻度」
から求める、1週間の運動量を表す指標です。
■運動で中性脂肪は下がる?
研究の結果、運動をしない対照群と比較して、
〇HIIT
→ −0.23 mmol/L
〇有酸素運動
→ −0.20 mmol/L
〇有酸素運動+筋トレ
→ −0.17 mmol/L
〇筋トレ
→ −0.10 mmol/L
HIIT・有酸素運動・複合運動(有酸素運動+筋トレ)では統計学的に有意な中性脂肪の低下が示されましたが、筋トレ単独については統計学的に有意とはいえませんでした。
つまり今回の研究からは、
閉経後女性の中性脂肪対策として、特に有酸素運動を含む運動が有効である可能性
が示されています。
ただし、これは「筋トレに意味がない」という話ではありません。
研究内でも、筋トレのメリットは中性脂肪そのものへの直接的な作用より、筋肉量や体脂肪、インスリン感受性など別の部分に現れる可能性が指摘されています。
■運動は「やればやるほど良い」わけではない?
ここが今回の研究で特におもしろいポイントです。
運動量が増えるほど、中性脂肪がどんどん下がり続けるわけではありませんでした。
運動量が少ないところから中程度に増えるにつれて中性脂肪の改善幅が大きくなります。
しかし、その後は改善幅が徐々に小さくなり、
1週間あたり約1,000〜1,200 MET-minを超えると効果が頭打ちになるような非線形の関係が示されています。
特に大きく変化していたのは、
約250〜1,000 MET-min/週
という比較的低〜中程度の運動量でした。
「運動は多ければ多いほど良い」ではなく、
ある程度の運動量でも十分なメリットが期待できる可能性があるということです。
■では、どれくらい運動すればいい?
運動の種類ごとに分析すると、中性脂肪の低下が大きくなる可能性が示された運動量は、
〇有酸素運動
→ 約830〜1,000 MET-min/週
〇HIIT
→ 約1,000〜1,300 MET-min/週
〇有酸素運動+筋トレ
→ 約830〜1,200 MET-min/週
「830〜1,000 MET-min」と言われても、よくわからないですよね。
研究では、有酸素運動の830〜1,000 MET-min/週は、
中強度のウォーキングなら週185〜220分程度に相当する
としています。
1日で全部やる必要はありません。
例えば
週5日→1日約37〜44分程度
毎日長時間のハードな運動をしなくても、日常生活の中にウォーキングなどをコツコツ組み込むことで、十分な運動量を確保することができます。
ただし、
研究者らは今回示された運動量を確定した運動処方ではなく、今後の研究のための暫定的な目安として捉えるべきだと強調している点には注意が必要です。
■HIITが一番効果的?
今回のネットワークメタ解析では、中性脂肪を下げる効果の順位を示すSUCRAという指標で、
〇HIIT:79.44%
〇有酸素運動:73.03%
〇複合運動:60.63%
〇筋トレ:34.16%
となり、HIITが最も高い値を示しました。
ただし、
「HIITをやれば一番いい!」と単純に考えるのはまだ早いです。
HIITについては今回の解析に含まれた研究がわずか3件しかなく、推定値の不確実性も大きいことを研究者自身が繰り返し指摘しています。
一方、有酸素運動については39件の研究が含まれています。
現時点では、閉経後女性の中性脂肪改善を目的とする場合、
中程度の量の有酸素運動は比較的エビデンスが豊富な選択肢と考えられます。
■筋トレだけじゃダメ?
今回の研究だけを見ると、中性脂肪の低下については筋トレ単独よりも有酸素運動を含む方法の方が明確な結果が出ています。
だからといって、筋トレをしなくていいということではありません。
ここは要注意です。
筋トレは、筋肉量や体脂肪、インスリン感受性などに対してメリットを持つ可能性があり、健康づくり全体を考えるのであれば、
「筋トレで筋肉を維持しながら、有酸素運動で活動量を確保する」
このように一つの運動だけに偏らず、目的に合わせて組み合わせていくことが大切です。
■更年期こそ「無理なく続けられる運動」を
今回の研究で重要なのは、
「たくさん運動しないと意味がない」という結果ではなかったことです。
全体の解析では、中性脂肪に対する運動のメリットは比較的低〜中程度の運動量から大きくなり、その後は徐々に頭打ちになる可能性が示されました。
「毎日1時間運動しないといけない」
「激しいトレーニングをしないと健康になれない」
そう考えてしまうと、運動を始めるハードルは一気に高くなってしまいます。
大切なのは、最初から完璧を目指すことではありません。
今ほとんど運動していないのであれば、
まず歩く時間を増やす
慣れてきたら筋トレも取り入れる
→最終的には、自分の体力や生活に合わせて少しずつ運動量を増やしていくのが良いでしょう。
「できる運動を、続けられる量から始める」ことが、長期的な健康づくりにつながります。
■まとめ
今回紹介した研究では、
運動によって中性脂肪が改善する可能性がある
特にHIIT、有酸素運動、有酸素運動+筋トレでは、有意な中性脂肪の低下を確認
一定の運動量を超えると中性脂肪への効果が頭打ちになる可能性ある
運動は、未来の健康を守るための習慣のひとつです。
更年期以降は、体重や見た目だけではなく、血圧・血糖・脂質など身体の内側にも目を向け、今の身体に合った運動から始めてみましょう。
引用文献
Zeng J, Wang H, Shi F. Exercise dose and triglyceride reduction in postmenopausal women: a systematic review and model-based network meta-analysis. Frontiers in Physiology. 2026;17:1911395. DOI: 10.3389/fphys.2026.1911395.
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