食べる順番と食事回数がダイエットに与える影響とは?

釧路市鳥取にあるパーソナルジムR.Physio labスタッフの村上です!
ダイエットというと、食事のカロリーや糖質量を気にする方が多いのではないでしょうか?
健康的にダイエットを進めるうえでは、血糖値の管理も意識したいポイントの一つです。
適切なエネルギー収支を作ることが基本ですが、血糖値を意識した食事は、糖代謝の健康を保ちながら食生活を整えるうえで役立つ可能性があります。
では、血糖値の急上昇を抑えるためには、どのような食事方法が効果的なのでしょうか?
2025年に発表された研究では、健康な日本人女性18人を対象に、1日3食と1日5食の食事パターンを比較し、食べる順番や食事回数によって血糖値の変動がどのように変わるのかが調べられました。
今回はこの研究をもとに、血糖値の急上昇が身体に与える影響や、食べる順番・食事回数とダイエットの関係についてわかりやすく解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください!
■血糖値とは?
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。
炭水化物を食べると、消化・吸収によって血液中のブドウ糖が増加し、血糖値が上昇します。
すると、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。
インスリンには、主に以下のような働きがあります。
① 筋肉などへのブドウ糖の取り込みを促進する
② 肝臓からのブドウ糖の放出を抑える
③ 脂肪の分解を抑制する
このような働きによって、血糖値が正常な範囲に調整されます。
食後に血糖値が上昇すること自体は、身体の正常な反応です。
しかし、過度な高血糖や大きな血糖変動が繰り返されると、身体に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
■なぜ血糖値の急上昇はよくないの?
血糖値が過度に上昇する状態が慢性的に繰り返されると、主に以下のような影響が考えられます。
① 酸化ストレスの増加
血糖値が過度に高い状態では、細胞内で活性酸素が過剰に発生しやすくなります。
活性酸素が過剰になると細胞や血管にダメージを与える原因になります。
このような状態を「酸化ストレス」と呼び、血管の機能低下や慢性的な炎症、インスリンの働きの低下などに関係しています。
② インスリン抵抗性の悪化
インスリン抵抗性とは、インスリンが分泌されても、筋肉や肝臓などで十分に作用しにくくなる状態です。
インスリンの効きが悪くなると、血糖値を正常に保つために、より多くのインスリンが必要になる場合があり、慢性的な高血糖や酸化ストレス、炎症などはインスリン抵抗性と相互に関係しており、糖代謝の悪循環につながる可能性があります。
③ 血管への悪影響
慢性的な高血糖は、血管の内側にある血管内皮細胞の機能を低下させる要因となります。
糖尿病などで高血糖が長期間続くと、動脈硬化や心血管疾患、腎臓・網膜などの細い血管の障害につながることが知られています。
ただし、健康な人が食後に一時的に血糖値が上がること自体が、直ちに血管の損傷につながるわけではありません。
重要なのは、過度な高血糖が慢性的に続く状態を避け、適切な血糖管理を行うことです。
■食べ方と血糖は関係する?
今回の研究内容です。
対象:健康な日本人女性18人
平均年齢:21.4歳
平均BMI:20.2
研究方法:ランダム化クロスオーバー試験
測定方法:持続的にグルコース濃度を記録する測定器(isCGM)を使用
1日に摂取する総エネルギー量や栄養素の量を同じにして、以下の2つの食事方法を比較しました。
① 1日3食パターン
朝7時・昼12時・夜18時に食事を摂取し、野菜・タンパク質・炭水化物を特定の順番を設けずに食べる方法です。
② 1日5食パターン
朝7時・9時30分・昼12時・15時・夜18時に分けて食事を摂取し、野菜→タンパク質→炭水化物の順番で食べる方法です。
例えば、3食パターンでは朝食にパン120gをまとめて食べますが、5食パターンでは60gずつ2回に分けて摂取しました。
昼食も同様に、ご飯の一部を15時に移し、夕食のご飯の量も調整しています。
なお、どちらの条件も1日の総エネルギー量は1,822kcalで、タンパク質・脂質・炭水化物・食物繊維の摂取量も同じです。
つまり、食事量を減らすのではなく、食べ方を変えることで血糖値にどのような影響が生じるのかを調べた研究です。
■結論:血糖急上昇や変動幅を抑えられる可能性がある
まずは結論です。
1日5食パターンでは、3食パターンと比較してグルコース濃度の変動が有意に小さくなりました。
一般的に、血液中のグルコース濃度を「血糖値」と呼びます。
① 血糖値の変動幅が約27%減少
今回の研究では、MAGE(平均血糖変動幅)という指標が使われています。
これは、血糖値がどれくらい大きく上下しているかを表す指標です。
1日3食:3.49mmol/L
1日5食:2.56mmol/L
約27%の減少です。
同じ量の食事でも、食事を分けて食べる順番を工夫することで、血糖値の大きな変動が抑えられたことになります。
② 食後の血糖値のピークも低下
食後のグルコース濃度のピークを比較すると、以下のような結果になりました。

特に夕食では、ピーク値が約34mg/dL低くなっています。
このことから、炭水化物を分けて摂取し、食べる順番を工夫することで、食後の急激なグルコース濃度の上昇を抑えられる可能性が示されました。
③ 140mg/dLを超える時間が約67%減少
研究では、グルコース濃度が140mg/dL相当を超えていた時間の割合も比較しています。
1日3食:4.2%
1日5食:1.4%
約67%の減少です。
一方で、1日の平均グルコース濃度や24時間全体の血糖上昇量には、有意な差が認められませんでした。
つまり、今回の研究で確認されたのは、
1日の平均値を大きく変えるというよりも、
食後の急激な上昇や血糖値の変動幅を抑えられる可能性です。
■なぜ食べ方を変えると血糖値が安定するの?
今回の研究では、主に3つの仕組みが考察されています。
① 1回あたりの炭水化物摂取量が少なくなる
炭水化物は消化されるとブドウ糖などに分解され、体内に吸収されます。
一度に多くの炭水化物を摂取する
↓
短時間に吸収される糖の量が増える
↓
血糖値が大きく上昇する可能性
そこで、炭水化物を複数回に分けることで、1回あたりの糖の負荷を小さくできると考えられます。
② 野菜→タンパク質→炭水化物の順番
食べる順番も血糖値の変動に関係する可能性があります。
野菜に含まれる食物繊維は、種類によって胃から腸への食べ物の移動や糖の吸収速度に影響します。
また、タンパク質の摂取によって、GLP-1やGIPなどの消化管ホルモンの分泌が促されることもあります。
こうした作用が組み合わさることで、最後に食べる炭水化物による血糖値の急激な上昇が抑えられる可能性があります。
③ セカンドミール効果
セカンドミール効果とは、先に食べた食事が、その後の食事に対する血糖反応に影響する現象です。
例えば、
昼食から夕食までの空腹時間が長くなる
↓
次の食事で血糖値が上昇しやすくなる場合がある
今回の研究でも、15時に炭水化物の一部を摂取したことが、夕食後の血糖値の上昇を抑える一因になった可能性が考察されています。
ただし、今回の研究では食事回数と食べる順番を同時に変更しているため、それぞれの効果を個別に判断することはできません。
■血糖値の急上昇とダイエットの関係は?
ここで気になるのが、「血糖値の急上昇を抑えると痩せやすくなるのか?」ということです。
この関係を理解するうえで重要なのが、インスリンの働きです。
① インスリンには脂肪分解を抑える働きがある
食事によって血糖値が上昇すると、インスリンが分泌されます。
インスリンには血糖値を下げるだけでなく、脂肪組織に蓄えられている中性脂肪の分解を抑える働きがあります。
反対に、インスリン濃度が低下すると、脂肪分解が活発になりやすくなります。
ただし、インスリンが分泌されること=太ることではありません。
食後に脂肪分解が抑えられるのは、正常な生理反応です。
② 食事回数が増えると脂肪分解の時間が短くなる?
ここで考えられるのが、食事回数と脂肪分解の関係です。
例えば、
1日3食:食間が長くなるため、インスリン濃度が低い時間を確保しやすくなる
1日5食:食間が短くなるため、インスリンによる脂肪分解の抑制が続く可能性がある
しかし、5食では1回あたりの食事量が少なくなるため、インスリンの分泌量や上昇幅も変化します。
食事回数が増えたからといって、必ずしも1日の脂肪分解時間が短くなるとは限りません。
今回の研究ではインスリン濃度や脂肪分解速度は測定されていないため、5食パターンの方が脂肪分解の時間が短くなると結論づけることはできません。
③ 脂肪分解が活発なら痩せる?
ここで重要なのが、脂肪分解と体脂肪減少は同じではないということです。
〇脂肪分解(Lipolysis)
脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪を脂肪酸などに分解すること。
〇脂肪酸化(Fat oxidation)
脂肪酸をエネルギーとして利用すること。
〇体脂肪減少
長期的に脂肪の蓄積よりも消費が上回り、体脂肪量が減少すること。
脂肪分解によって放出された脂肪酸は、必ずしもすべてエネルギーとして消費されるわけではありませんし、利用されなかった脂肪酸は、再び中性脂肪として蓄えられる場合もあります。
つまり、脂肪分解が活発な時間が長いことが、そのまま体脂肪の減少につながるわけではないのです。
ダイエットでは、脂肪分解が起こっている時間だけでなく、長期的なエネルギー収支を考えることも重要です。
④ 血糖値の変動と食欲の関係
食後の血糖反応は、その後の空腹感や食事摂取量に影響する可能性があります。
つまり、余分にエネルギーを摂取してしまう可能性が高まります。
ただし、
食欲には血糖値以外にも、食事のタンパク質や食物繊維、睡眠、食習慣など、さまざまな要因が関係しているため、血糖値の変動だけが影響しているとは限らない点には注意が必要です。
■今日からできる食事の工夫!
今回の研究を参考に、日常生活では以下のような方法を取り入れることが考えられます。
① 野菜から食べる習慣をつける
野菜→肉・魚・卵などのタンパク質→ご飯などの炭水化物という順番を意識してみましょう。
② 炭水化物を一度に大量に食べない
1回の食事で炭水化物を極端に多く摂取することを避け、適量を意識しましょう。
③ 食事の間隔を考える
食事の間隔が長く空く場合は、1日の総摂取量を増やさない範囲で、炭水化物の一部を間食に分ける方法も考えられます。
ただし、食事回数を増やすことがすべての人に適しているわけではありません。
特に血糖値を下げる薬を使用している方は、食事回数や炭水化物の配分を変更する前に医療機関へ相談することが大切です。
■まとめ
今回の研究では、1日3食と、炭水化物を分けて食べる順番を工夫した1日5食を比較した結果、
血糖値の平均変動幅が約27%減少
食後の血糖値のピークが低下
140mg/dL相当を超える時間の割合が約67%減少
が示されました。
食事は「何を、どれくらい食べるか」だけでなく、「どのように食べるか」も血糖値の変動に関係する可能性があります。
生活習慣や空腹感、食事管理のしやすさなどを考慮し、自分に合った方法を選択することが重要です。
適切なエネルギー収支と運動習慣を組み合わせ、できるところから意識してみてはいかがでしょうか?
引用文献
Higuchi Y, et al. Dietary Modification with Food Order and Divided Carbohydrate Intake Improves Glycemic Excursions in Healthy Young Women. Nutrients. 2025;17(20):3194.
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