60代・70代・80代でも筋肉は増える!年齢別の筋トレ効果を解説

釧路市にあるパーソナルジムR.Physio labスタッフの村上です!
年齢を重ねると筋肉量は減少しやすくなりますが、実は高齢になってからでも、適切な運動によって筋肉を増やせる可能性があります。
2025年に発表されたレビュー論文では、60歳以上の高齢者1,417人を対象とした68件の研究を分析し、筋トレや有酸素運動が筋肉の大きさに与える影響が詳しく調べられました。
今回はこの研究をもとに、年齢と筋肉の関係や、高齢者が効率よく筋肉を増やすために知っておきたいポイントについて、わかりやすく解説していきます!
ぜひ最後まで読んでみてください!
■ 年齢を重ねると筋肉はどうなる?
加齢に伴う筋肉量や筋力の低下に関係する状態として「サルコペニア」が知られています。
筋肉が減少すると、次のような日常生活の動作にも影響が出る可能性があります。
階段の上り下りがつらくなる
椅子から立ち上がりにくくなる
歩く速度が遅くなる
重い荷物を持ちにくくなる
転倒のリスクが高まる
今回の研究で重要なのは、すべての筋肉が同じように衰えるわけではないという点です。
筋肉によって加齢による萎縮の程度が異なり、運動に対する反応にも違いがあると考えられています。
そのため、高齢者の健康維持には、特定の筋肉だけでなく全身の筋肉を意識することが重要になります。
■ どんな研究?
2025年に学術誌『Journal of Applied Physiology』に掲載された包括的レビューです。
研究では、MRI・CT・超音波などを使って測定された筋肉の大きさの変化を調べています。
単に体重や体組成計の数値を見るのではなく、
個々の筋肉がどの程度大きくなったのかを評価している点が特徴です。
■結論:90歳以上でも筋肉は増える
今回の研究で特に注目したいのが、年齢別の筋肥大効果です。
10〜14週間の筋トレによる大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)の変化をまとめると、次のようになりました。

結果を見ると、60代だけでなく、70代・80代、さらには90歳以上でも筋肉の増加が報告されています。
特に90歳以上の対象者でも、大腿四頭筋の約4%の筋肥大が報告されています。
ただし、対象者は11人と少なく、トレーニング内容も研究ごとに異なるため、最適な運動量については慎重に判断する必要があります。
それでも、高齢になっても筋肉には運動に適応する能力が残されていることを示す重要な結果といえます。
■筋トレは量を増やせばいいわけではない
筋肉を増やすためには、トレーニングの回数や期間を増やし続ける必要があるのでしょうか?
60〜79歳の大腿四頭筋を対象とした筋トレ研究を分析し、トレーニング期間と筋肥大率の関係も調べています。

興味深いことに、トレーニング期間が長いほど筋肥大率が大きくなるという関係は確認されていません。
また、10〜14週間および15〜19週間の研究では、総反復回数と筋肥大率の間にも明確な関係が認められませんでした。
つまり、筋トレは単純に回数を増やせば、それに比例して筋肉が大きくなるわけではないということです。
ただし、これは「少ない回数が必ず最適」「長期間続けても筋肉が増えない」という意味ではありません。
今回の数値は、同じ人が長期間トレーニングした場合の筋肉の成長曲線ではない点と、研究ごとに負荷やトレーニング内容が異なるため、最適な運動量については、今後さらに研究が必要とされています。
高齢者の場合は、無理に運動量を増やすことよりも、体力や関節の状態に合わせて適切な負荷を設定することが大切です。
■男性も女性も筋肉は増える
60〜79歳の男女についても筋肥大効果が比較されました。

結果として、男女間に大きな筋肥大反応の違いは見られませんでした。
女性であっても、適切な筋トレによって筋肉を増やせる可能性が十分にあることがわかります。
※今回の比較は主に太ももの筋肉を対象としており、全身の筋肉で男女差がないと断定できるわけではありません。
■有酸素運動だけでは筋肉を十分に増やせない可能性も
ウォーキングや自転車などの有酸素運動は、心肺機能や健康維持に役立つ運動です。
しかし、筋肉を増やすという目的では、筋トレとは異なる特徴があります。
今回の研究では、70〜79歳の有酸素運動による筋肉の変化は、
筋肉ごとに約−6%〜+9%と幅がありました。
その理由として
筋肉ごとの使われ方の違い
運動によるエネルギー消費
などが関係している可能性を指摘しています。
筋肉が減少した原因が有酸素運動そのものだったと断定できるわけではありませんが、全身の筋肉を維持・向上させるには、有酸素運動だけに偏らず、筋トレも取り入れることが合理的だと言えるでしょう。
■ 高齢者が筋肉を増やすために大切なこと
① 年齢を理由に筋トレを諦めない
60代・70代・80代だけでなく、90歳以上でも筋肥大が報告されています。
年齢だけで筋トレの効果を判断せず、現在の身体機能に合わせて運動を始めることが大切です。
② 適切な負荷を意識する
今回のレビューでは、単純に反復回数や期間を増やしても、筋肥大率がより大きくなるとは限りませんでした。
まずは正しいフォームを身につけ、無理のない範囲で徐々に負荷を調整していくことが重要です。
③ 全身の筋肉をバランスよく鍛える
今回の研究では、筋肉の種類によってトレーニングへの反応が異なることが示されました。
太ももだけでなく、お尻・背中・胸・腕・ふくらはぎなど、全身をバランスよく鍛えることをおすすめします。
■ まとめ
90歳以上でも筋トレによる筋肥大が報告された
筋トレの回数や期間を増やしても、より筋肥大が比例して大きくなるとは限らない
60〜79歳では、男女で大腿四頭筋の筋肥大反応に大きな違いが見られなかった
有酸素運動による筋肉の変化は部位によって異なる
筋肉ごとの反応の違いを考慮した運動指導が重要
筋トレは、若い人やスポーツ選手だけが行うものではありません。
何歳になっても自分の足で歩き、階段を上り、好きな場所へ出かけられる身体を維持するためにも、筋肉を鍛えることが大切です!
引用文献
Vincenty CS, Yoon G, Rogers K, Naruse M, Trappe S, Trappe TA.Human skeletal muscle-specific hypertrophy with exercise training and aging: a comprehensive review.Journal of Applied Physiology. 2025;139(1):58–69.
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